授業紹介


演習T(アジア史)

担当教員:江川

3年 在校生

 アジア史専攻では3年生になると、「演習(ゼミ)」授業が大学での勉強の中心となります。演習ごとに専門が異なり、アジア史に関して自分の興味に沿った演習に所属します。そこでは自分で調べたことを発表したり、文献を輪読したりといった受講生が能動的に参加する授業となっております。
 そして、我らが「江川ひかりゼミ(演習T)」では「漢文史料を用いないアジアの歴史」といった具合にかなり幅広い地域を取り扱います。主に「イスラーム世界」の歴史について関心のある人が多いのですが、地域では西アジア、南アジア、東南アジア、中央ユーラシア、アフリカ、そして時代としては前近代〜現代、テーマとしては美術史、女性問題、日本との関係史、ユダヤ問題・・・といったように各々が考えている問題は大変多様であり、したがってゼミの授業進行としては各々が自分の興味のある分野について調べたことについて発表し、それについて質疑応答・議論をし、最後に江川先生がコメントするといった形をとっています。このような過程を経て卒業論文に向けて自分の問題意識を練っていきます。
 ゼミの雰囲気としては、質疑応答・議論が活発であり、またコンパを開いてゼミの仲間間の親交を深めるなど全体的にアットホームであります。ゼミ生たちの関心にはまとまりはないのですが、それだからこそ各々の発表を通して様々な地域・時代の歴史ついて知ることができ、それは大変刺激的です。また、一般に「マニアック」と考えられている問題意識を扱うゼミゆえに、そこにあつまる人々は「個性的な人」揃いであり、これもまた大きな刺激となっていると感じます。
 このような江川ゼミは、いろんな意味で「多様性」をはらんだゼミであり、まさに「アジアの多様性」を映しているゼミであると私は思います。


文献講読A(アジア史) 

担当教員:高田

テキスト『民国時期社会調査叢編』表紙

テキスト『民国時期社会調査叢編』表紙

卒業生

  この授業は近代中国の史料を中国語で音読し、そのあと音読したところを訳していく作業を発表形式で行います。
 今学期は、「社会調査―沈家行実況」という今から80年前の上海の沈家行という村の状況、村における学校設立の過程と運営についての史料を読み込みました。そこから、当時の沈家行の村人達は彼らの子どもたちに教育を受けさせるほど教育熱心であることや、学校創立の際は学校の土地を探し出すのさえも苦労したことなどがわかりました。また、放課後に学校の空き教室を使って村民の授業を行う点は現在の学校開放と通じる点があり興味深かったです。
 この授業を通して歴史史料を紐解くことを経験することで、当時の人々の考えを理解でき、また予想もつかない事実も知ることができます。事前の予習、特に訳は一カ所役仕方を間違えると文全体の意味が変わってしまうので、慣れないと大変です。ですがこの授業にはそれだけの価値があります。


史料演習(アジア史)

担当教員:寺内

4年 在校生

  この授業では主に宋代以降の漢文史料の読解を行っています。
 前期の授業では司馬 光の『速水記聞』と正史である『元史』を扱いました。毎講毎講漢和辞書を片手に漢文をどのように解釈すればいいのか、この史料の成立した背景には何があるのかなどを教えていただきながら、読み進めていきます。受験時代の勉強では知ることが出来なかった中国の歴史の生き生きとした姿が史料から読み取れるのがとても楽しいです。
 またほかの講義形式の授業とは違い、学生一人一人が質問や意見を交わしやすい雰囲気のため飽きることがありません。
 担当の寺内先生は朝鮮史が専門ですが、その他の分野の質問にも優しく答えてくださるので、学生のやる気しだいでどんどん知識を深めることが可能です。


基礎演習(アジア史)

担当教員:櫻井

1年 在校生

 この授業では東アジア史、とくに中国史を中心に、今後アジア史・東洋史を研究していくために必要となる基礎事項を学んだり、漢文資料の読解演習を行ったりしています。
 授業の内容は主に、教養書を1冊教科書に決めてそこから深く広く歴史を探っていきます。専門的な知識を深めるものが多いので、高校までの授業とは異なった中国史を味わうことができます。前期はモンゴル帝国及び元朝についてとりあげました。我々が抱いている従来のモンゴルのイメージが改まり、また、モンゴル民族とその後の中国との密接な関係等についても知ることができました。
 資料では趙翼の『廿二史箚記』を取り上げています。古代〜近世の王朝にたいする歴史評論であるこの書からは、時代による価値観の相違というものを深く認識させられました。
 また、個人の研究発表を行う場が設けられ、創意工夫をこらすだけでなく、自主性と真剣に臨むことを求められます。授業時間以外でも博物館や史跡見学を行い、文献のみからはうかがうことができない史料を直に見ることなどで歴史の知識を深めていきます。
クラスの人たちは皆和気あいあいの雰囲気でお互いに切磋琢磨しつつ学んでいます。
 このように史料の原文に触れて精読し、中国史やアジア史・東洋史を勉強する十分な時間を持てる授業なので、熱意を持って取り組んでいこうと思っています。
意を持って取り組んでいこうと私は思っています。


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