文化財研究施設とは?
−施設運営の目的−
明治大学では、多種多様な文化財について自然科学的すなわち物質的な側面から人類の歴史と文化を解明する目的で、1996年度に文部省私学設備助成金を受けて、「明治大学文化財研究施設」を設置しました。この施設では蛍光X線分析装置、X線回折装置、低真空走査型電子顕微鏡、ガスクロマトグラフィ−/質量検出器などの分析機器を導入し、文学部のほか理工学部、農学部の教員や博物館学芸員の参加による学際的な研究を進めています。文化財の自然科学的分析では、黒曜石の原産地調査、土器の胎土分析、鉄器・青銅器の産地・製作技術の解明、赤色顔料の成分分析、漆、糞、脂肪酸などの有機物系遺物の分析などがよく知られています。また文化財の劣化の進行状況の測定と保存処理に関する技術調査にも、これらの装置を利用することができます。
| [文化財研究施設運営委員] |
| 文学部長 |
吉村武彦教授 |
理工学部 |
中村利廣教授 |
| 文学部 |
小林三郎教授 |
農学部 |
竹迫 紘教授 |
| 文学部 |
杉原重夫教授 |
図書館事務部長 |
熊野正也 |
| 文学部 |
氣賀澤保規教授 |
学芸員養成課程 |
矢島国雄教授 |
| 文学部事務長 |
米山志 |
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| (2006年4月現在) |
どのような分析が可能か
黒曜石の原産地分析
黒曜石は石器時代において狩猟具や生活用具の原材料として広く用いられて、日本各地の遺跡から多数出土しています。蛍光X線装置を使用した黒曜石の元素組成の特徴から、古代人がどこの産地の黒曜石を使用しているかを知ることにより、当時の文化や交流を知るための重要な手がかりとなります。
土器の原材料分析
土器を製作するのに使用した胎土の偏光顕微鏡観察や蛍光X線装置による分析から、原産地や製作技術を解明することが可能です。また各地から出土する土器の胎土分析から流通機構がわかります。
鉄器・青銅器などの原材料分析
大型蛍光X線装置を使用して、貴重な文化財である銅剣、銅矛、銅鐸など大型の試料を非破壊で元素分析することができます。これにより製作技術の解明の手掛かりを得ることも可能です。
遺物に付着した赤色顔料の成分分析
遺跡から出土する土器などには表面が赤く塗られているものがあります。赤色顔料には鉛丹(Pb3O4)、水銀朱(HgS)、ベンガラ(Fe2O3)が考えられますが,蛍光X線回折装置で元素情報を得ることで、どの赤色顔料が用いられているのかを判断することができます。
漆器の漆成分の分析
熱分解−ガスクロマトグラフ用質量検出器により、遺物表面塗布および付着の漆の成分分析から産地推定(日本産、ミャンマー産、ベトナム産など)が可能です。本学理工学部の宮腰哲雄教授は漆の成分分析から漆器の製作技術について研究を行っています。
花粉・珪藻などの微化石試料の分析
遺物の出土層や遺跡周辺の地層から得られた花粉・珪藻などの微化石試料について光学顕微鏡のほか走査型電子顕微鏡による分析から、堆積環境、古植生、古気候などの古環境を明らかにすることができます。
テフラ(火山噴出物)試料の分析
遺跡などで地層中に挟まれるテフラ試料について、偏光顕微鏡や走査型電子顕微鏡を使用した含有鉱物の分析や、温度変化型屈折率測定装置による火山ガラスや斑晶鉱物の光学的分析から、遺物出土層の層序や年代を明らかにすることがでます。
古地磁気の測定
遺物を出土する地層や古代住居に残された炉址の古地磁気測定から遺跡の年代を知る手掛かりを得ることができます。
墨書文字の判読
墨書土器に書かれた文字判読に赤外線分析装置を使用すると、より明瞭に文字を読み取ることができます。またその文字を写真撮影して残すことも可能です。
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