STORY

「俺の記憶ではね、アダム、」
物語は、若者が自分の置かれた境遇に対し不平を述べることから始まる。
彼には兄が二人いる。
一人は亡き父の跡取りとなり家長となった長男
もう一人は大学に通うため家を出ている。
しかし彼には何もない。
目に見えるものは何も持っていない。

「ねえシーリア、私、できるだけ明るくしているつもりなのだけど、
もっと明るくなれというの?」
かつては、公爵の娘。いまは”居候”。
シーリアは彼女の幼馴染であり、父から公爵の座を奪った叔父の娘でもある。
楽しもうという意思はあるのに、上手く楽しむことができない。
宮廷生活に不足はない。
目に見えるものにおいては。

若者の名はオーランドー、娘はロザリンド。
彼らは出会い、互いに惚れる。
想いを打ち明けるチャンスもないまま、それぞれが別々の理由により家から追放される。

場所は一転、アーデンの森。
娘の父親、前公爵が仲間たちと暮らすこの森に、血走った目をした男が闖入してくる。
オーランドーは飢えていた。それ以上にアダムが飢えていた。
新しく森の住人となった彼は、小生意気な小姓と出会う。
この小姓、実は宮廷を追放された娘ロザリンドが男装をした姿。
男装に気付かないオーランドーと、
小姓になったロザリンドとの不思議な関係がどのように進んでいくのか。

道化やふさぎ屋、ブサイクや愉快な小姓、格闘家も貴族も、嫉妬深い男もみんなそろった、
どなたでもお気に召す、シェイクスピアの喜劇です。