明治大学現代中国研究所・石井 知章・鈴木 賢 編 白水社
四六判・並製 212頁 ISBN: 978-4-560-09565-2
刊行日: 2017年8月22日 定価:本体2,600円+税
文革とは何だったのか。
新資料により凄惨な実像を明らかにするとともに、日本の新左翼運動に与えた影響を再検討する。貴重な図版50点をオールカラーで掲載。
1966年から77年にかけて中国にとどまらず全世界を巻き込んだ「文化大革命」から半世紀が経った。紅衛兵や造反派によるつるし上げで、多数の犠牲者を出したこの運動は、1981年に「党、国家や各族人民に重大な災難をもたらした内乱」と公式に総括された(共産党歴史決議)。
もちろん、総括がされたからと言って「文革」の全容が解明されたわけではなく、中国社会ではこの運動の傷が今も深くのしかかり、社会を分裂させたままである。
本書は、文革研究の世界的権威として知られる徐友漁氏や宋永毅氏、矢吹晋氏の協力を得ながら、〈「文革」とは何だったのか〉を改めて問い直す試みである。 大量虐殺や性暴力、人肉食という新事実から見えてくるのは、解放区以来の地主や富農ら「四類分子」に対する〈非人間化〉政策であり、中共に翻弄された貧しい農村の姿である。
他方、文革の国際的な影響力を考える際に重要なのは、1956年のスターリン批判と「新左翼」の誕生だろう。「革命無罪、造反有理」というスローガンがなぜ戦後日本を含む世界を捉えたのか。
当時を回想しつつ複雑な綾を解きほぐしたのが本書である。
文化大革命の基礎知識 石井知章
文革とは何か 徐友漁(及川淳子訳)
広西文革における大虐殺と性暴力 宋永毅(徐行訳)
中国現代史再考──ロシア革命百年と文革五十年 矢吹晋
革命宣伝画の起源とその展開 中村達雄
座談会 文化大革命と現代世界──矢吹晋氏に聞く
文革研究の今日的意義を問う──あとがきに代えて 鈴木賢
中華人民共和国略年表
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