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現代中国研究所では来る六四・天安門事件から30周年を迎える本年6月1日、明治大学において下記の国際学術シンポジウムを開催いたします。

《六四30周年シンポジウム開催概要》

《開催趣旨》
 中国の現執行体制の基礎を形作った六四・天安門事件を世界史レベルにおいて再検討することは、グローバル化した世界の政治・経済システムにおいてますます存在感を増している中国の今後のあり方を考え、習近平体制の今後のゆくえを見定めるための、必要不可欠な前提作業となっている。この公開シンポジウムでは、天安門事件研究の世界的権威であるA・ネイサン氏(コロンビア大学教授)をお招きして基調講演をいただくとともに、日本国内の天安門事件研究の第一人者である矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授)にコメントしていただく。そのうえで、さらにアメリカからお招きしている天安門事件との関係の深い歴史的証人、王丹氏(華府智庫/対話中国代表)、胡平氏(『北京之春』雑誌社主編)、および張博樹氏(コロンビア大学客員教授)の三人から、その歴史的意義についてそれぞれご報告いただき、広く参加者とともに議論し、今年30周年目を迎えるこの世界史的事件へのさらなる理解を深めていきたい。

《プログラム》

10:00~10:10 開会挨拶 石井知章
10:10~11:30 基調講演「習近平と天安門の教訓」Andrew J. Nathan(コロンビア大学教授)
〈講演要旨〉
 すべての権力を自らに集中し、党と社会に厳しい規律を課しつつ、習近平は中国共産党指導者が天安門事件の危機から学んだ教訓のもとで行動している。それは第1に、中国共産党は国外の敵と共謀する国内の敵から永久的包囲攻撃の下にある、ということである。第2に、経済改革とはつねに社会的コントロールとイデオロギー的規律の次に行なうべきであり、第3に、もし党自らが内部分割するようなことを許せば、党はそうした敵によって覆されるであろうということである。だが習は、なによりも1989年の危機を生成した根本的ジレンマを解決しなかった。中国がグローバル経済、技術的近代化への関与によって得られる富と権力を追求すればするほど、学生、知識人、および立ち上がりつつある中産階級は、党が人々に強要しているイデオロギー的規律をますます受け入れ難くなっている。さらに、いかなる党内派閥主義の突発的生起をも阻止すべく、巨大な権力を自らに集中し、自らの任期を撤廃することで、習近平は将来の権力後継という危機回避のための前提条件をつくりあげたのである。

11:30~11:40 休憩
11:40~12:00 コメント 矢吹 晋(横浜市立大学名誉教授)
12:00~12:30 質疑応答
(昼休み)
13:30~15:10 六四・天安門からの現地報告
13:30~14:20 報告「六四・天安門事件の歴史的意義」王丹(華府智庫/対話中国代表)
14:20~15:10 報告「『六四』は中国を変え、世界も変えた」胡平(『北京之春』雑誌社主編)
15:10~15:20 休憩
15:20~16:10 総括報告「30年後に『六四』を考える」張博樹(コロンビア大学客員教授)
16:10~17:00 質疑応答(登壇者・フロア)

テーマ 六四・天安門事件を考える「民主化はなぜ挫折したのか」
日時 2019年6月1日(土)10:00~17:00(開場09:30)
会場 明治大学 グローバルフロント1階 多目的室
地図サイト:https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
入場料 入場無料・事前予約不要
司会 石井知章(明治大学教授)
通訳 徐行(北海道大学准教授)、及川淳子(中央大学准教授)
主催・問い合わせ 明治大学現代中国研究所
協力 一般財団法人人権財団

登壇者略歴

Andrew J. Nathan(アンドリューJ.ネイサン)
1943年、米国生まれ。コロンビア大学政治学部教授。専門分野は、中国政治、外交、人権、および政治文化。ハーバード大学にて歴史学(B.A)、東アジア研究(M.A)、および政治学(Ph.D.)を修める。1971年以来、コロンビア大学で教え、同東アジア研究所所長(1991-1995)、同政治学部長(2003-2006年)を経て、現在、同大学人権研究センター運営委員会委員長。主な著作として、The Tiananmen Papers(邦訳:張良編、A. J. ネイサン監修『天安門文書』文藝春秋社) (2001)、Negotiating Culture and Human Rights: Beyond Universalism and Relativism (2001), How East Asians View Democracy (2008) with Robert Ross, The Great Wall and the Empty Fortress, second edition (2009) with Andrew Scobell. China's Search for Security (New York: Columbia University Press, 2012) 等.

王丹(おう・たん)
1969年、中国北京市生まれ。人権活動家、歴史学者。1989年の天安門事件では、ノーベル賞の劉暁波の弟子であったウーアルカイシや柴玲とともに、学生最高指導者としてその名は世界に知られる。国立清華大学(台湾)客員助理教授。ハーバード大学博士。

胡平(こ・へい)
1947年、中国北京市生まれ、現在米国ニューヨーク在住、《北京の春》栄誉編集主幹。独立中文ペンクラブ栄誉理事。1978年、北京大学哲学部大学院入学。西方哲学史を専攻し、哲学で修士号取得。北京出版社、北京市社会科学院勤務を経て、1987年、ハーバード大学博士課程入学。中国民主団結連盟主席、『中国の春』、『北京の春』雑誌編集主幹などを歴任。

張博樹(ちょう・はくじゅ)
1955年中国北京市生まれ。1991年、中国社会科学院博士課程修了。哲学博士。2010年まで中国社会科学院哲学研究所教授、現在コロンビア大学客員教授。政治学(中国政治)。主著に『中国憲政改革可行性研究』(香港・農鐘書局)、『改変中国――1969年中国六四以来的中国政治思想(邦訳『新全体主義の思想史:コロンビア大学現代中国講義』白水社、2019年)』(香港・遡源書店)等。

矢吹晋(やぶき・すすむ)
1938年生まれ。1962年東京大学経済学部卒。東洋経済新報社記者、アジア経済研究所研究員、横浜市立大学教授を経て、横浜市大名誉教授。21世紀中国総研ディレクター、朝河貫一顕彰協会代表理事。主な著作として、『沖縄のナワを解く』情況出版)、『習近平の夢』(花伝社)、『南シナ海領土紛争と日本』(同)、『対米従属の原点ペリーの白旗』(同)、等。

登壇者による記者会見

シンポジウム開催に先立ち、5月31日(金)、以下の要領でシンポジウム登壇者による記者会見を開きます。
日時:5月31日(金) 16:00~17:30
場所:グローバルフロント17階C5会議室
※記者会見の取材を希望する場合は、明治大学現代中国研究所に5月20日(月)までにご連絡ください。

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