各研究テーマ

研究プロジェクト1

科学研究費補助金基盤研究B「中国における差別問題の「発見」と法的対応——社会実態、理論、制度、運用上の特徴」

(2015~2018年度、鈴木賢研究代表)

経済の市場化、市民社会の萌芽的勃興、人権問題のグローバル化の中で、中国において戸口(居住地登録)、性別・性指向、疾病、心身障がいなどによる異なった扱いを「差別」と認識するようになるメカニズム、「差別」の実態、現れ方、法的(司法、立法)、社会的(NGO、社会運動)対応、「差別」解消へ向けた党/国の対応の有り様を明らかにし、今後の課題を提示することを目的とする。「差別」を切り口として中国法のプラクティスに横串を刺すことで、法が具体的な社会問題にどう対応し、いかなる効果を上げている(いない)かを示す。他方で、「差別」問題の黎明期にある中国を素材とすることで、「差別」発生の原理的機制に迫り、日本における「差別」問題との対比を通じて、欧米との比較とは違った角度から日本の「差別」の特色解明に資する。

研究プロジェクト2

科学研究費補助金挑戦的萌芽研究「台湾/中国における性的マイノリティをめぐる法環境の構造——日本法への示唆を求めて」

(2014~2016年度、鈴木賢研究代表)

性別特例法の制定・施行・見直しや性的マイノリティの可視化が進む中、婚外子の相続分差別違憲判決が出され、日本でも多様な家族を認める傾向が見られる。性的マイノリティの法的問題の研究は欧米に偏っていたが、本研究では儒教的家族倫理を共有し、非キリスト教文化圏にある台湾、中国に焦点をあてて、以下の諸点をめぐる社会的・学術的言説、社会・政治運動、法実践(立法、司法)の歴史、現状の特徴を明らかにし、将来を展望する。

研究プロジェクト3

日本学術振興会・課題設定による先導的人文・社会科学研究推進事業(領域開拓プログラム)
「新たな華語情報環境のもとでの中国研究が示唆する次世代型地域研究」

(2014年10月~2016年9月、鈴木賢研究代表)

国境を越えてグローバルに展開する華語メディアの勃興、情報デジタル化の進展など急激な情報環境の変容が、中国・大中華・華人研究にいかなる対応を迫っているかを、法学、政治社会、メディア研究の3分野に即して方法論レベルで整理し、さらに、新たな環境のもとでの研究情報共有の場(=「グローバル華語情報プラットフォーム」)を構築する。さまざまな海外華語情報の現状を把握し、それらの中国研究への応用可能性について検討し、新たな視角からの中国研究への展望を切り開く。

研究プロジェクト4

科学研究費補助金基盤研究A「中国における習近平時代の労働社会――労働運動をめぐる法・政治・経済体制のゆくえ」

(2016~2019年度、石井知章研究代表)

グローバリゼーションにともなう市場経済の急激な発展により、中国でも非正規雇用の拡大、雇用の不安定化が拡大していった。こうした労働者の過半数は、都市の農民工、レイオフ労働者、失業者といった社会的弱者であり、ホンダのストライキ(2010年)に見られるように、官製労働運動とはまったく異なった、一連の非正規労使紛争を呼び起こしている。これまで官製労組(中華全国総工会)の支配下にあった「個別的」労使関係は、習近平体制の下、「集団的」労使関係へと変化している。この二つの労働運動の生起は、法、政治、経済体制にいかなるインパクトを与えるのか。官製労組という一枚岩システムは、市場経済に適合的なのか。労働NGOはこれにどう対応し、官製労組はいかなる態度をとっているのか。本研究は、中華全国総工会と労働NGOとの関係の解明を通し、労働社会における根源的局面を明らかにする。