| 「明治大学 危機管理研究センター」の創設と展望 |
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明治大学 危機管理研究センター 所長
中邨 章 (Ph.D)
明治大学 政治経済学部 教授
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明治大学は、文部科学省のオープン・リサーチ事業の一環として、2003年4月に危機管理研究センターを創設しました。現在は、文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」の一環として、2008年9月より、5年にわたる研究活動を実施しております。明治大学に危機管理研究センターが出現するまでの間、関係者は長年にわたっていろいろな準備作業を実施してまいりました。このセンターが生まれる以前の数年間、このプロジェクトに関わる研究者は、明治大学の社会科学研究所から研究費を受け、危機管理の概念整理や事例研究、それに国際比較などの作業を手がけました。また、なかには学術振興会から科学研究費を支給され、それを基盤にすでに不測事態の研究を進めてきた研究者もおりました。そうしたこれまでのいろいろな努力を一箇所に結集し、明治大学駿河台キャンパスの11号館5階を拠点にして、危機管理に関わる研究や調査、分析の体制を強化するとともに、対外発信を一層、本格化することにいたしました。
明治大学に創設された危機管理研究センターには、いくつか固有の特色があります。その一つは、センターが危機について、地震発生予知や災害発生のシミュレーションなどのいわゆるハードな部分は扱わないこととし、もっぱら政府や地方自治体などの行政機関における危機管理を対象にしていることです。そうした行政機関が不測事態の発生に直面した際に備えて、組織のあり方、人事体制の整備、それに指揮命令系統の確定などを検討し調査・研究するのが、当センターの主要な関心事です。そのようにもっぱらソフトと呼ばれる側面に力点をおく危機管理研究センターでは、すでに特定の自治体をケースとし、自然災害や人的事故に備える分析・対応策の策定に携わってきております。
なかでも、センターは目下、「資金を必要としないが、即効性のある施策」、「資金が必要とされるが、即効効果の期待される対策」、「資金を必要としないが、効果に歳月のかかる方策」、それに「資金が必要とされ、長期的な効果しか期待されない対応策」などの枠組みを基本としながら、各種に及ぶ危機管理策の検討を進める途次にあります。
例えば、危険予知訓練(KYT)の効率的な実施、あるいは、就業後のブレーンストーミングのやり方などを念頭にしながら、それを自治体に適応することの可否について様々な形のシミュレーションを実施してきました。また、フォーカス・グループ・インタビュー(FGI)やWEBアンケートをはじめ、いろいろな形を援用した世論調査を行い、住民が抵抗なく参加できる防災対策や復旧・復興の方法を検討するのも、現在、危機管理センターが関心をよせる主要な課題です。
明治大学に創設された危機管理研究センターは、組織や人事、それに権限などソフトな側面を対象とするという点では、これまでわが国になかった研究機関です。関係者はあたらしい中身をもつ組織であるという点を自負しながら、それに国際化という重要なキーワードにアクセントを付加することに専心しております。2004年6月には、「行政組織と危機管理」を主題に外国からの研究者を招聘し国際シンポジウムを開催いたしました。危機管理センターを世界の研究ネットワークのアジアのハブに成長させることを企図した試みの一つです。
なお、明治大学では2004年4月に公共政策大学院「ガバナンス研究科」を開設しております。そこに「危機管理」と呼ばれる講座を開設し、センターでの成果をリアルタイムで受講生に教授する体制をとりました。危機管理を机上の学問から実践の研究に転化させようとする実践志向型の試みです。その点でも危機管理センターが出現した意義は、大きいと自負しております。
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