テレビ番組「解雇レース」


 国が変われば、ユーモアのセンスも変わります。英米の漫画をみて意味がわかっても、その半分以下しか、私は笑えません。こういうことはわかっていましたが、このテレビ番組の設定には驚きました。3月19日夜のBBC2の番組です。

 この番組は、30分間のゲームショーです。挑戦者2人が、それぞれ楽器店と紳士服店に就職し、午後3時までの制限時間内にどちらが早く解雇されるか!!を競います。
 そこで、楽器店に就職したAは、さぼって店裏でコーヒーを飲んだり、電子オルガンを演奏しつづけて仕事をしなかったり、客や同僚店員に的はずれなことや非常識なことばかり言って、彼らに?と思われたりと努力します。しかし、彼の電子オルガンのうまさにマネージャーが案外と感心して聞き込んだりで、解雇にはとうてい至りそうにありません。
 紳士服店に就職したBは、マネキンに話しかけるなどの奇行をしますが、マネージャーはそれほど気にしません。そこで、商品を勝手にマネキンに着せたり、自分で着たりします。マネージャーはさすがに気にして、Bに注意を与えるとともに商品をもとにもどしますが、マネージャーも、何かを食べながら!!の片手間で、仕事をしています。Bはさらにエスカレートし、新品のソックスを丸めてサッカーボールのように蹴り、それが商品にあたってひっくり返るなどします。マネージャーは、注意を与えます。しかし、Bはまた新品ソックスを丸めて蹴ります。とうとうマネージャーが、「商品を蹴るのをやめるか、それとも辞めるか、どちらかにしろ」といいます。「クビだ」と正確に言われなければならないので、Bはさらに続けますが、なかなか言われません。マネージャーは「5回も6回も注意している」といいながら、「クビだ」の言葉が出てこない。とうとう最後には、Bが半ば誘導するような形で、やっと「クビだ」といわれて、Bの勝利に終わります。Bは賞金44.55ポンドを手にします。

 こういう番組をつくろうとの企画がでてくるし実際に制作されるのが、そもそもの驚きです。日本では考えられないと、私は思いました。実は、1月にこの番組が連続ものの新番組として予告されているのを、放送が終わった2日後くらいに知りました。そこで、つぎの週の放送をみようとしたところ、番組表にはたしかにあったのに、実際は別の番組が放送されました。その後は、毎週の番組表にも出てこなかったように思います。「あまりに変な番組なので、1週のみで放送中止になったのかな」と思っていましたが、今日、それが番組表にでていたので、はじめてみることができました。でも、変な番組にかわりありません。

 それにしても、マネージャーも日本では考えられないくらい仕事熱心でありません。マネージャーも相当に「さぼっている」感じがします。というより、このくらい気を抜いて仕事をするのがイギリス流と言ってよいかもしれません。こういうことは、イギリスに住まないとなかなかわからないことと思います。