キッチン その1

 私は、ロンドン北部の日本人の多く住む地帯に住むことにしました。パーパスビルト・フラットの2ベッドルームを借りました。パーパスビルトとは、不動産では「はじめからその目的で建設された」の意味であり、フラットとは、日本語での「アパート」とか「マンション」の意味です。2ベッドルームとは、文字どおり寝室が2つあるの意味です。そのほかに、寝室よりもひろい居間と、キッチンとバスルームがあります。 そのキッチンの全体は、左の写真のとおりです。

 右端のひろい白い扉の上が冷蔵庫で、下が冷凍庫です。
 その左のシンクの下の右側(上部が黒色)がディッシュウオッシャー(皿洗い機)です。
 中央の円い窓があるのが洗濯機です。
 その左の黒い部分が、オーブンで、その上がレンジです。
 レンジの上にフード付き換気扇がついています。
 その他の部分は収納用です。

 美しく、豪華にすらみえると思います。そういうことにしておきます。






 なかなか良いアイデアだな、と思ったものがあります。それはシンクです。

 すこし見づらいですが、シンクの中に、ぴったりはまる鉄の網かごがあります。これがあるために、誤ってお皿を落としても割れにくい。左側に洗剤ボトルがみえますが、洗剤ボトルの底が汚れない、という効用があります。
 また右側に、同じく鉄の網かごがあり、洗いあげたお皿をおくところになっています。その下は、シンクと一体化していて、お皿から流れる水がそのままシンクに流れ込むようになっています。
 私のようなずぼらな人間には、こうした仕組みは、大変助かります。日本では、あまり見かけないように思います。

 シンクの底や洗い上げたお皿の下などが、薄く白くみえます。これは水道水に含まれる石灰が沈殿したものだそうです。大変な量です。ある日本人の大学院生によると、イギリス人の足が太いのは、この石灰を長年吸収しているためだ、との俗説があるそうです。足が本当に太いのかどうか、それが石灰のためかどうか、たぶんに疑問の説ではありますが・・・。



 キッチンは美しくみえますが、実は、それほど機能的とはいえません。その1例は、冷蔵庫・冷凍庫のドアです。
 鉄製の冷蔵庫・冷凍庫のドアに、さらに、白い木製1センチ厚の化粧板がつけられています。ドアの取っ手は、平行した2本の茶色の木製バーにデザインされています。美しさが追求されていることが、よくわかります。
 しかし、ドアを開けるのは、結構たいへんです。左の写真のように、取っ手は、わずか1センチほどのチョットだけ曲げられたものです。これに指をかけて引っ張ってドアを開けるのは、かなりの作業です。
 写真では、下部の冷凍庫の取っ手の様子がよくわかりますが、これを開けるのはたいへんであるにしても、指を上に向けて引っ張るので、まだマシです。上部の冷蔵庫の方では、指を下に向けて引っ張るので、本当にたいへんです。男性成人の私ですら、相当な力を指にかけなければなりません。高齢者は無理と思います。私の母は、晩年、日本の軽い冷蔵庫の開け閉めすら、重たいといっていたことを、思い出します。

 このように、美しいが、機能的でない。この関係を、他のところでも、しばしば目にすることがあります。この関係は、イギリスの人々とか社会のある側面を示しているように思えました。