電気感受性

とくに感情的に不安定なときに、身の回りで電気製品が異常動作するという人がいる。人間の身体が微弱な電気や磁気を帯びること自体は不思議なことではないが、それが電気製品を誤作動させたりするほどの力になるとしたら不思議である。あるいは、感情的に不安定なときに、たまたま電気製品が異常動作すると、そのことをあたかも自分が起こしたことのように関連づけてしまうということもありうるが、すべてがそれで説明できるかどうかは体験談からだけではわからない。一般に女性に多いといわれている。
25歳 女性 アルバイト
 毎日睡眠時間3時間ぐらいで働いている。身の回りで電化製品がよく壊れる。具体的な例をあげると、まず、携帯電話が4か月以上もたない。携帯電話が4か月で壊れるとは困ったものだ。そして、電化製品の中でももっとも相性が悪いのがMDプレーヤーである。
(聞き取り:荒井ひかり、2004年12月)
夜寝ているときに電化製品が異常動作するように思われるケースは、ひょっとすると夢や金縛りに似た幻覚体験である可能性もある。
 22歳 男性 学生
 二年前のある夜のこと、部屋で寝ていると突然テレビの電源がつき、何事かと思っているうちにすぐ切れた。安心してまた眠りに就いたら、また電源がつき、起きると切れる。この状態が何度も何度も続いたため、さすがに気味が悪くなり目を覚ました。
 タイマー設定でもしていたかと思って見ると、なっていない。故障した箇所も見当たらない。理由がわからないため再び布団に入ると、何やら声が聞こえてきた。耳を済まして聞いてみると、それは日本語ではなく、どこの言葉かわからない。そして画面を見上げると、金髪の女性が「ウァー」とわめいていた。
 恐ろしくなり思い切ってテレビのコンセントを抜いた。すると何も起こらなくなりそのまま夜は更けていった。
 その後もしばらくは同じテレビを使い続けたが一度もこのような現象は起こらなかった。一体何が原因だったのか。心当たる点といったらバイト先の人間関係のストレス、提出期限の近いレポートの追い込みから精神的に極限状態にあったことぐらいである。
(聞き取り:増野智也、2004年12月)
疲労やストレスは金縛り体験を引き起こしやすいことが知られているが、このケースはその可能性もある。
※事例の文章は聞き取りをした人の原文をもとに蛭川が若干の加筆修正を行なったものです。
※類似の体験に思い当たる方は、もしよろしければご経験された内容を、hirukawa@kisc.meiji.ac.jpまでお送りいただければ幸いです。