Steps to an Ecology of Spirits

地域概説

民族一覧

歴史地図
 東南アジア島嶼部の民族一覧
論語
シンガポールの政府広告には
『論語』が引用されている

■ヘスペロネシア(西の・島々)とは、あまり聞きなれない地域名だが、これはむしろ言語学用語で、オーストロネシア語族ヘスペロネシア語派に属する文化圏の総称である。

■現在の国・ 地域でいうと、支配された国に対応して、おおよそ台湾(中国)、フィリピン(スペイン→アメリカ)、マレーシア・シンガポール(イギリス)、インドネシア (オランダ)にほぼ対応する。だいたい、東南アジア島嶼部と言い換えても良い。

■オーストロネシア系の民族は、もともとは華南あたりから南方に拡散していったグループだと考えられてい る。また、現在これらの地域は漢民族系の移民の多い地域でもある。
タタラ
台湾先住民タオ(ヤミ)の
伝統的な船、タタラ
■ヘスペロネシアは高温多湿の熱帯地帯に連なる島々で、環太平洋造山帯に属するため、山は険しく、火山活動も活発だが、低地には熱帯雨林が広がっている。生業の基層はタロイモなどの根菜農耕と漁撈だが、現在では華南に由来する稲作がほとんどの地域に広がり、主たる生業になっている。
ジョグジャカルタ
ジャワ島の古都、
ジョグジャカルタ
■したがって、社会構造をみると、東南アジアの半島部や日本と同様、稲作を基盤とした双系社会が多い。

■また多くの社会で社会的階層も発達していて、歴史的にはイ ンドと中国を結ぶ海洋交易の中継地点として、スリヴィジャヤ、マジャパヒトなどの王国が盛衰を繰り返してきた。ジャワ語やバリ語などは社会的地位の相対的高低関係に敏感であり、敬語の体系が高度に発達しているところに特徴がある。
プランバナン
古代ジャワのヒンドゥー教遺跡、
プランバナン

■精神文化の基層にはアニミズム的な世界観があり、また象徴的二元論にもとづく世界観が発達しており、インドネシアを支配したオランダでの構造主義の形成にも大きな影響を与えた。

■古代にはインド由来のヒンドゥー文化、とくに仏教とヒンドゥー教の交じり合ったタントラ的な文化の影響を受け、ジャワにはボロブドゥール、プランバナンなどの寺院建築がつくられた。

■中世以降はインド自体がイスラーム化 する中で、ヘスペロネシア地域も多くはイスラーム化したが、インドネシアの場合、その影響はジャワ島までで、バリ島より東には伝わらなかったため、とくにバリには、バリ・ヒンドゥーという独特の信仰形態が今でも残されている。


TOP>ヘスペロネシア -東南アジア島嶼部->地域概説

明治大学100コンテンツプロジェクト トップへ copyright(C)2005 Meiji University. All Rights Reserved. 利用規定マーク