北東アジアの民族
言語
民族
生業
定住性
社会的
階層
居住
規則
出自
規則






孤独語 朝鮮・韓 稲作・牧畜 定住的 あり 夫方 父系

孤独語

(日本・
琉球語族)

日本 稲作・漁撈 定住的 あり 夫方 双系
琉球 稲作・漁撈 定住的 あり 夫方 父系
縄文 (西日本) 採集・根菜農耕? 定住的 なし 妻方 双系?母系?
(東日本) 漁撈・狩猟 定住的 あり? 夫方 父系?母系?
孤独語 アイヌ 漁撈・狩猟 半定住的 なし 夫方 母系(重系)
孤独語 ニヴヒ
(ギリヤーク)
漁撈・狩猟 半定住的 なし 夫方 父系

■東北アジアには、朝鮮(韓)、日本・琉球、アイヌ、ギリヤーク、さらに北方の先住民族と、系統のよくわからない民族が連なっている。(→東北アジアの言語)おそらくこれは過去に起こった文化の大規模な混合の結果である。古アジア系ないしオーストロネシア系の基層文化に、アルタイ系の表層文化が覆いかぶさるように伝播したと考えられている。(→東北アジアの地図東北アジアの歴史)そして、アルタイ系文化の影響の強い順に、朝鮮、日本、琉球、アイヌ、ギリヤークその他の古アジア系諸民族、と並べることができる。

■東北アジアの南半分は稲作をベースにした階層社会で、北半分は基本的に狩猟採集社会だが、サケ・マスなどの高度な漁撈にもとづく、比較的定住性の高い社会をつくっている。縄文時代晩期の東北日本では、北米北西海岸先住民社会のような階層社会が発達していたらしい。

■韓国・朝鮮、沖縄には門中(munjung / munchuu)という父系出自集団が存在するが、これは比較的最近になって漢民族の影響を受けて形成されてきたもので、日本本土も含めてイトコ呼称法が「エスキモー型」であることから、基層文化は双系的だったといえる。日本・琉球の基層にある縄文社会は、基本的に根菜農耕+双系〜母系という、オーストロネシア系に近い社会構造を持っていた。

■アイヌの社会には、フチ・イキリという母系集団と、エカシ・イキリという父系集団の両方が存在するので、重系社会ともいえるし、外婚集団として機能しているのはフチ・イキリだけなので、厳密には母系社会ということになる。ニヴヒの親族構造は、母方交差イトコ婚をにもとづく「ギリヤーク型」と呼ばれる独特の体系をなしている。

(2005-10-24 修正/文:蛭川立)

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