シピボの美術と精霊たちの植物
(ペルー、ウカヤリ県)


女性たちは、ピリピリ(Cyperus spp.)(写真)という草の根の汁を目にたらし、民芸品のモチーフになるヴィジョンを見る。

いっぽう、シャーマンたちがヴィジョンを得るために使うのはまた別の植物、カウアとオニである。

カウア(Psychotria viridis)はケチュア語のチャクルーナという名前でよく知られている。この植物の有効成分はDMT(N,N-ジメチルトリプタミン)だが、体内に入るとMAO(モノアミン分解酵素)によって急速に分解されてしまう。

オニ(Banisteriopsis caapi)は、やはりケチュア語のアヤワスカという名前でよく知られている。この植物の主要な有効成分はハルミンとハルマリンで、MAOの阻害剤として働き、体内でのDMTの分解を抑制する。

アヤワスカの薄茶を準備するウナヤ(シャーマン)のロベルト・サンチェスさんと息子のアルベルト・サンチェスさん。

オニの幹を棒でよくたたいてつぶし、カウアの葉といっしょに鍋に入れて数時間煮込むと茶会用のアヤワスカができあがる。

治療儀礼を行うウナヤのマテオ・アレブロさん。シャーマンは、アヤワスカを飲むことで、時空を超越し、病気やその他の問題の原因がどこにあるのかを見ることができるようになるという。

彼はタバコの煙を来談者に吹きかけている。今では世界的な嗜好品となっているタバコもまた、中南米の先住民社会で長い間治療儀礼に用いられてきた植物である。

(2000/03/20)