五行による象徴的分類体系

陰陽による二元論と並んで漢民族の世界観を構成するのが、五行による五元論である。木、火、土、金、水という五つの元素の相互関係によって、世界や人体の動態を説明する。この五つの元素は、互いに以下のような関係にあるとされる。

五行の図

出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Five_elements.png

身体と外界の要素が五行の体系に応じてそれぞれ対応関係にあるとされ、中医学の理論もこれにもとづいて組み立てられている。

五色  
五方 中央 西  
五季 長夏(土用)  
五行  

五臓
(対応する経絡)

(足の厥陰肝経)

(手の少陰心経)

(足の太陰脾経)

(手の太陰肺経)

(足の少陰腎経)
※心包
(手の厥陰心包経)
五腑
(対応する経絡)

(足の少陽胆経)
小腸
(手の太陽小腸経)

(足の陽明胃経)
大腸
(手の陽明大腸経)
膀胱
(足の太陽膀胱経)
※三焦
(手の少陽三焦経)
五志  

5は指の本数に由来しており、数学的というよりは生物としての発生的制約にもとづいている。陰陽は二進法で、2の倍数しか表せないので、五元論とは、2(上下)×2(左右)+1(中央)のようにして対応させる。

内臓は陰の経絡に対応する「臓」と、陽の経絡に対応する「腑」に分類される。12経脉(ケイミャク)は(手/足)×(太/厥/少)×(陰/陽)の組み合わせからなっているが、これに対応して臓も腑も六個あることになる。ただし心包と三焦(さらに上焦、中焦、下焦に分けられる)は物質的に実在する器官ではない。

(2006/2549-11-20 蛭川立)