トピックス

ガスハイドレート研究所が行ってきた様々な活動についてご紹介します。

  • 松本良・青山千春による検証論文「日本海東縁、上越沖のメタンプルームによるメタン運搬量見積もりの検証」概要:


    日本海の表層型メタンハイドレートが賦存するガスチムニー構造の海底面には、メタンバブル群からなるガス上昇流(メタンプルーム)が見られることがある。日本海ハイドレート学術調査チームは調査の初期段階からこの現象に注目し、無人探査機ROVによる観測・捕集実験と計量魚群探知機による観測を行い、1つのメタンプルームによるメタン運搬量は、年間96,360~166,440モルであるとの見積もりを得た(青山千春・松本良(2009) 計量魚群探知機によるメタンプルームの観測とメタン運搬量の見積もり. 地学雑誌118巻, 156-174)。年間モル数までは検証作業によっても間違いはないことが確かめられたが、年間モル数をメタンの重さ(質量)に換算する際の計算ミスにより、1つのプルームの年間運搬量としてメタン2000トン〜4000トンという誤った数字を示した。正しくは年間運搬量1.6~2.6トンと1000分の1以下である。投稿論文では旧データの検証とは別に、メタンバブルを直接捕集する方法により、メタンプルームの源となる海底メタンシープ(湧出)の湧出量見積もりを行なったが、得られた湧出量は年間1〜9トン程度であった。検証内容と新たなデータに基づく湧出量見積もりについては、間もなく発行される予定の地学雑誌を参照されたい。
  • ガスハイドレート研究所では、2018年度秋期・明治大学リバティアカデミー教養文化講座で、 6回の公開講座を開講します。その道の専門家が、最新のデータを分かりやすく解説して、メタン ハイドレートの様々な側面に迫ります。


    申込みはこちらから
    明治大学リバティアカデミー 18220064 メタンハイドレート:地球と人類への関わり

    <講座番号>18220064
    <講座タイトル> メタンハイドレート:地球と人類への関わり
    メタンハイドレートは資源としてだけでなく地球と生物の進化に深く関わってきた

    <説明>
    メタンハイドレートとは、メタンガスと水からできている、氷のような固体物質、言わば、固体状のガスです。大量のメタンガスを含んでいるため、天然ガス資源として期待されてきましたが、実際の利用までにはまだいくつもの課題を解決しなくてはなりません。気候変動の影響で、自然界のメタンハイドレートが急激かつ大量に分解することがあります。すると大量のメタンが海水や大気に放出されるため、温暖化が進んだり、海水や大気の酸素が消費されて無酸素状態となり、生物の絶滅が起きたりします。メタンハイドレート・シリーズ第2回の今回は、メタンハイドレートと地球環境との関わり、人類社会への影響について触れたいと思います。

    講義スケジジュール
    日付 講義タイトル 講師
    第1回10月20日メタンハイドレートの探査と開発棚橋 学
    第2回10月27日海底メタンハイドレートの掘削角和善隆
    第3回11月10日気候変動とメタンハイドレート大井剛志
    第4回11月17日劇的環境変動と生物の大量絶滅松本 良
    第5回11月24日メタンに群がる生物と私たちの暮らし沼波秀樹
    第6回12月01日地球表層からのメタンの湧出登尾浩助


  • ガスハイドレート研究所では、2018年度夏学期・明治大学リバティアカデミー教養文化講座で、 6回の公開講座を開講します。その道の専門家が、最新のデータを分かりやすく解説して、メタン ハイドレートの様々な側面に迫ります。


    申込みはこちらから
    明治大学リバティアカデミー 18120071 次世代エネルギー メタンハイドレートとは?

    <講座番号>18120071
    <講座タイトル> 次世代エネルギーメタンハイドレートとは?
    エネルギー資源として期待されるメタンハイドレート、どこまで分かったのか?

    <説明>
    深海底に眠る”燃える氷 メタンハイドレート"がエネルギー資源として注目されている。本学では以前よりメタンハイドレートと海底からのメタン湧出に関する研究を進めており2012年からは、国の「表層型メタンハイドレートの探査」事業に参加、日本海と北海道周辺のメタンハイドレートの分布を明らかにした。メタンハイドレートは資源としてだけではなく地球環境の変動にも大きく関与してきたと言われている。最新の科学データを分かりやすく解説し、多くの方々にメタンハイドレートの不思議を知っていただきたいと考え、本講座を開講することとした。

    講義スケジジュール
    日付 講義タイトル 講師
    第1回4月21日燃える氷メタンハイドレートとはどんなものか?松本 良
    第2回5月12日海底メタン湧出の環境インパクト登尾浩助
    第3回5月26日メタンに群がる海底生物の実態沼波秀樹
    第4回6月9日資源としてのメタンハイドレート探査と開発棚橋 学
    第5回6月23日メタンハイドレートの分析からその起源を探る蛭田明宏
    第6回7月7日メタンハイドレートの環境インパクト大井剛志


  • ガスハイドレート研究所で作成したガスハイドレート研究活動に関連したオリジナル切手を紹介します。


    明治大学ガスハイドレート研究所 オリジナル記念切手第1集
    研究所代表松本らが日本海・表層型メタンハイドレートの科学的調査を始めて15年、明治大学に日本海のメタンハイドレートの調査研究拠点としてのガスハイドレート研究所が設立されて5年を記念して、以下の7種類の記念切手を作りました。いずれも、学術調査航海で得られたものです。

    1 メタン湧出域に特徴的な底生有孔虫
    2 上越沖から採取したメタンハイドレートの炎
    3 学術調査の定番:海底堆積物採取ツール、ピストンコアラ
    4 北海道日高沖で確認した生きているシロウリガイ群集
    5 日本海の堆積物中に見られる珪藻
    6 上越沖海底に露出する塊状メタンハイドレート
    7 上越沖SBP記録に見られるガスチムニー構造


  • 表層型メタンハイドレート・フォーラム2017年度研究成果報告が1月26日(金)に開催されました。 寒い中にもかかわらず139名と多くの方々にご参加いただき、本当にありがとうございました。

    明治大学ガスハイドレート研究所の2017年度の成果報告会として、本年度7月に実施した日本海と北海道周辺海域の海洋地質調査の成果と2013年度 から3年間実施した(国研)産業技術研究所よりの受託研究の成果という、本研究所が行ってきた表層型メタンハイドレートに係る研究成果を広く紹介するために研 究フォーラムが開催されました。
    本フォーラムでは11件の講演と、18件のポスター発表が行われました。なお、ポスター発表の内11件については、講演会場にて各々数分間で見どころの 紹介を行いました。
    2017年度表層型メタンハイドレート・フォーラム ポスター
    2017年度表層型メタンハイドレート・フォーラム プログラム
    2017年度表層型メタンハイドレート・フォーラム 口頭発表・ポスター発表 一覧

    フォーラムの写真

    講演する松本良 ガスハイドレート研究所代表
    ポスターセッション会場の様子


  • 明治大学研究フォーラムメタンハイドレートの環境インパクトと先史人類社会が8月6日(日)に開催されました。 暑い中にもかかわらず多くの方々にご参加いただき、本当にありがとうございました。

    明治大学におけるメタンハイドレートの環境研究、地球環境変動に係る考古学研究(資源利用史・黒耀石)および農学の研究成果の社会へ の発信の試みとして、8月6日(日)の午後、明治大学リバティタワーにおいて、標記の明治大学研究フォーラムが開催されました。
    本フォーラムは下記リンクで示されている6件の講演による問題提起とパネル討論ならびに18件のポスター発表で構成されました。
    明治大学研究フォーラム
    メタンハイドレートおよびメタンの海洋と地球の環境における役割、その現状と変動についての地球科学、農学による研究成果について4件、先史人類社会の 特性、変遷についての考古学による研究成果について2件の講演が行われました。過去数十万年における氷期温暖期サイクルという気候変動史とメタンハイド レートのメタンの温室効果の関わり、また縄文時代を中心とした先史人類社会の研究からわかってきた過去1万年程度の気候変動と社会の関わりについて活発 な討論が行われました。

    フォーラムの写真

    会場入口
    あいさつする小川知之副学長
    松本良 ガスハイドレート研究所代表
    戸丸仁 千葉大学教授
    青木伸輔 農学研究科博士後期課程
    登尾浩助 農学部教授
    阿部芳郎 黒耀石研究センター長、資源利用史研究クラスター代表
    米田穣 資源利用史研究クラスター客員研究員、東京大学教授
    ポスター会場の様子


  • ハイドレート調査航海を行いました。

    7月7日〜17日の10日間、日本海と北海道周辺海域の18のサイトにおいてピストンコアリング、海洋音響探査及びROV海底観察とサンプリングの調査を行いました。参加メンバーは、ハイドレート研究所の教員(首席研究者:松本)、研究員を中心とし、他に、明治大学農学部、千葉大学、鳥取大学、北里大学、東京家政学院大学、東京海洋大学など22名でした。
    これまでの調査で、当該海域には多数のガスチムニーが存在することが確かめられています。ガスチムニーとはガスハイドレートを胚胎する海底下の構造で、音響探査ではブランキングとして認識されますが、音響データだけでは、泥火山との識別が困難な場合があります。泥火山は実在するのか、どこにどのように発達するのか?という問題は今回調査の重要課題の一つです。他にメタン湧出域周辺の生物の分布(ハビタットマップ)、プルアップ構造の顕著なハイドレートマウンドにおけるガスハイドレートの有無の確認、地震探査で示唆された低速度異常を実際のコア測定とその場音響速度測定で実証すること、北海道周辺域のメタン湧出域にシロウリガイ群衆が存在するのか、などが重点的な調査課題でした。 調査は、異常と言えるほどの晴天と穏やかな海況に恵まれ、事故や怪我もなく、予定していた調査項目はすべて実施することができました。今後、ラボでの分析、実験、解析を行い、年内にワークショップを予定しています。

    1K17調査航海乗船研究者集合写真
    1K17調査航海調査船「第一開洋丸」(海洋エンジニアリング(株))
    1K17調査航海ROV(海洋エンジニアリング(株))
    1K17コアラ組み立て
    1K17コアラ投入
    1K17コア引き出し
    1K17ハイドレート試料

  • ICGH9に参加しました。

    6月26日〜30日、世界のハイドレート研究者が最新の研究成果を発表し議論する第9回国際ガスハイドレート会議(9th International Congress on Gas Hydrates, ICGH—9) がアメリカ、コロラド州、デンバーで開かれました。ガスハイドレート研究所及び連携する千葉大学、秋田大学、鳥取大学の教員、研究員、大学院生により7本の口頭発表と4本のポスター発表を行ないました。

    口頭発表

    Matsumoto et al. Occurrence and Origin of Thick Deposits of Massive Gas Hydrate, Eastern Margin of the Sea of Japan.
    Oi et al. Types of Gas Chimney Structures in Southeastern Parts of the Sea of Japan.
    Ohkawa et al. Characterization of Gas Chimney Systems in Joetsu Area, Eastern Margin of the Sea of Japan, Using High-Resolution 3-Dimensional (HR3D) Seismic Data
    Tanahashi et al. Physical Properties Obtained by LWD for Thick, Massive Gas Hydrate in the Offshore-Joetsu Area, Eastern Margin of Japan Sea.
    Kakuwa et al. Occurrence of Methane Hydrate in Joetsu Area, the Eastern Margin of Japan Sea.
    Tomaru et al. Relationship Between Pore Water Anomalies and Seafloor Topography Constrained by the Development of Shallow Gas Hydrates in the Japan Sea.
    Snyder et al. Mineralization of Dolomite Associated with Gas Hydrate Formation in Sea of Japan Sediments.

    ポスター発表

    Hiruta et al. Recent Formation of Near-Seafloor Massive Gas Hydrates Estimated from Raman Spectroscopy.
    Oi et al. Sedimentation Ages from the Hydrate–bearing Cores in Eastern Parts of the Sea of Japan.
    Uchida et al. Sedimentary Environment and Early Diagenesis of Muddy and Sandy Sediments Hosting Massive Gas Hydrate Below Sea Floor in the Eastern Margin of Japan Sea.
    Owari et al. High Resolution Time-Series Analysis of Interstitial Waters Using Osmosampler at Gas Venting Site in the Eastern Margin of the Japan Sea.
    このうち、本研究所代表の松本他の論文は会議初日の全体集会で発表されました。これは世界のハイドレート研究コミュニティーが日本海の表層ガスハイドレートに強い関心を持っていることを意味しています。 また、ICGH—9において松本は、ハイドレート会議の最高の栄誉であるLifetime Achievement Awardを受賞しました。これは、天然のガスハイドレートの産状、起源、環境インパクトや資源ポテンシャルに関する長年の研究と、海洋調査という現場での研究を通じて多くの研究者を育て、日本とアジアのハイドレート研究を高めてきたことに対するAwardであり、明治大学ガスハイドレート研究所、我が国のメタンハイドレート研究コミュニティーにとっても名誉あることと言えましょう。
    ICGH9

  • 日本海表層ハイドレート調査の概要記事が"Fire in the Ice"に掲載されました。

    松本他による“Recovery of Thick Deposits of Massive Gas Hydrartes from Gas Chimney Structures, Eastern margin of Japan Sea: Japan Sea Shallow Gas Hydrate Project”(日本海東縁部ガスチムニー構造からの厚い塊状ガスハイドレートの回収:日本海浅層ガスハイドレートプロジェクト)と題する記事が、アメリカエネルギー省国立エネルギー技術研究所が発行するメタンハイドレートニューズレター "Fire in the Ice" Vol. 17, Issue 1に掲載されました。
    このニューズレターのpdfファイルがダウンロード可能です。
    MHNews-2017-Jan.pdf

  • 鳥取大学と共催でワークショップを開催しました

    鳥取国際メタンハイドレートフォーラムの翌日3月16日に鳥取大学において、フォーラムに参加した研究者による「メタンハイドレートに関わる環境擾乱とジオハザード」ワークショップを開催しました。
    tottoriWSimage.pdf

  • 鳥取国際メタンハイドレートフォーラムを開催しました

    鳥取国際メタンハイドレートフォーラム

    ~メタンハイドレート賦存域の環境評価と海底地盤工学の最前線~

    平成29年3月15日(水)午前10時より

    会場: とりぎん文化会館 第1会議室

    鳥取県、鳥取大学と明治大学の共催で開催しました。

    フォーラムポスター
  • 化学合成生物シロウリガイ発見・採集に関するプレスリリース

    日本海〜北海道沖で実施したメタンハイドレート共同学術調査航海UT16において、水深970mの海底に高メタン活動領域を確認、同所より化学合成生物シロウリガイ類二枚貝(Calyptogena sp.) の合弁の死貝採集に初めて成功しました。

    2016. 9.23 プレスリリース
  • 2015年度表層メタンハイドレート・フォーラムを開催しました。

    2015年度表層メタンハイドレート・フォーラムを2016年6月28日(火)9時半より、明治大学駿河台キャンパス、グローバルホールで開催しました。

    2015年度フォーラム
  • 2015年度調査のプレスリリース

    2015年度は、産総研(資源エネルギー庁)からの受託研究として、表層型メタンハイドレートの存在の可能性がある特異的な構造(ガスチムニー構造)の内部におけるメタンハイドレートの様子をより詳しく把握するため、隠岐周辺及び上越沖に存在する3箇所のガスチムニー構造において、合計約30箇所の掘削調査を行いました。また、隠岐周辺、上越沖、秋田・山形沖、日高沖及び北海道周辺の調査海域において昨年に引き続き広域地質調査及び詳細地質調査等を実施しました。

  • 2014年度フォーラム2014年度フォーラムを開催しました

    「表層メタンハイドレート・フォーラム2014 ー資源量評価・2年目の成果ー」を2015年1月30日(金)に開催しました。ご来場いただいた方々、誠にありがとうございました。表層メタンハイドレート・フォーラム2014のプログラムはこちらを参照してください。

    2014年度フォーラム
  • 2014年度調査活動概要

    2014年度、明治大学ガスハイドレート研究所および連携する大学・研究所等の研究者チーム(表層ガスハイドレート研究コンソーシアム)は、延べ125日間に6つの調査航海を実施しました。

    2014年度調査概要
  • 動画を公開しました

    ガス湧出地点における動画を公開しました。

    動画アーカイブ
  • 新潟にて地質巡検を実施

    ガスハイドレート研究所は、11月21~23日に新潟において地質巡検を実施しました。

    2014.11.21~23 地質巡検・新潟
  • 海鷹丸による日本海表層型メタンハイドレート調査の実施

    ガスハイドレート研究所では、「海鷹丸」(東京海洋大学練習船)を用いて、7月22日から28日までの1週間にわたり、隠岐諸島周辺海域でガスハイドレート学術調査を実施しました。

    2014. 7.29 プレスリリース
  • 「白嶺」および「Ragini」による表層型メタンハイドレート掘削調査の実施

    ガスハイドレート研究所では、(独)産業技術総合研究所から受託した調査「日本海の表層型メタンハイドレートの資源量把握のための調査」の一環として、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構の所有する海洋調査船「白嶺」およびGreatship社の作業船Raginiを用いて、日本海の上越沖および最上トラフで掘削調査を行いました。

    2014. 6.24 白嶺による掘削調査プレスリリース
  • ガスハイドレート研究所の新年度計画がスタート

    4月1日付で研究所スタッフが増員され、前年度に引き続き(独)産業技術総合研究所とともに「日本周辺海域における表層型メタンハイドレートの資源量調査」を実施しました。

  • 表層メタンハイドレート・フォーラムを開催

    1月23日(木)に、東京、御茶ノ水の明治大学グローバルホールで「表層メタンハイドレート・フォーラム」を開催しました。

    2013年度フォーラム
  • 質量分析計の導入

    海底から採取されたハイドレートや地層、間隙水中のガスの炭素同位体、炭酸塩ノジュールの炭素や酸素の同位体分析を行っています。