本プログラムの成果は,何よりも大学院生の「主となる研究分野」における研究業績と,それを取り巻く「副となる研究分野」を通して獲得された複眼性(学際性・国際性)の両面から推し量ることになる。このうち,「副となる研究分野」の成果を数値的に示すのは難しいので,業績一覧の論文・研究発表タイトルを掲示したので,それに依られたい。
本プログラムの成果としての履修者の研究業績(課程博士論文・修士論文および博士課程在籍者の研究論文・研究発表等)を以下に掲示する。
本学大学院文学研究科における課程博士学位取得者は,年度により変動はあるが2004年度までは2~4名というのが常態であった。しかし,2004年度から文化継承学を設置したように,課程博士学位取得をめぐる教員と大学院生の意識改革を進めたことにより2006・2007年度は6名・5名と微増した。そして2008年度に本プログラムが指導して,制度と運用面から院生の研究促進を図った結果,2008年度は4名と少なかったものの,2009・2010年度は10名・7名と増加した。本プログラム申請時は毎年10名程度とした目標には若干届かないものの,第13図で2003年度以来の推移を見れば,一定の成果が上がったと評価してよいと考える。

しかも,本プログラムの成果を課程博士学位取得数の推移だけで測るのではなく,博士課程在籍中において研究成果を各種研究会や学会等で口頭発表し,また研究論文として各種紀要や学会誌に投稿して成果を発表することがどれだけ恒常化しているかを点検することが必要である。そこで第14図に,本プログラムを履修した博士課程後期在籍者数(左)と研究論文数(中)・口頭研究発表数(右)の推移を示した。研究論文の場合は,投稿から掲載誌の発行まで1年ほどかかることが多いことを勘案する必要があるが,研究発表は2008年度の10件から2009年度の26件,2010年度の44件へと急増し,研究論文も2008年度の12件から2009年度・2010年度の36件・34件と大きく増加した。履修大学院生数は3か年ほぼ20名と一定であるが,院生一人当たりの研究発表・研究論文数も,2008年度の約0.5件から1.5件へと3倍に増えている。こうした現象は,大学院生が日常の研究成果を研究発表することによって議論を行い,さらにその成果を研究論文としてまとめて外部に発信することが恒常化したことを示している。
こうした改善は,本プログラムの組織的な展開によるものであるが,直近の課程博士学位取得者を研究支援員として採用して,博士課程の大学院生の研究支援を行ったことも大きい考えている。第15図に研究支援員の研究活動を数値化したが,2008年度は年度末採用であったことも原因して少ないが,2009年度・2010年度と研究論文・研究発表とも一人当たり2~3件の成果を公にしている。研究支援活動を通して大学院生と研究支援員との相互効果=プラスのスパイラルとみてよい。

学位取得者
(0.5M)
(『複眼的日本古代学研究の人材育成プログラム 2008年度~2010年度 取組報告書』成果より)