Workers' Right Conference (更新日02/12/27)


 
私がMSUに到着した直後、それこそ右も左もわからない10月11〜12日、アメリカ労働総同盟産別組合会議( American Federation of Labor & Congress of Industrial Organizations )とMSU労使関係研究所との共催で、表記の研究会がもたれた。言葉もままならない段階ではあったが、とにかく会場にあてられたMSUケロッグ国際会議センターに出かけてみた。以下はその印象記である。


 
開催パンフレットによると、「この会議の基本目標は、労働組合の組織化と団体交渉の現状を議論し、人権が守られていない労働者とその社会的影響について議論し、労働者の人権を促進し広めていくことである。さらに労働組合側と研究者の関係を強化し、労働者の人権問題についての調査と研究を促進させていくこともこの会議の重要なねらいである」という。
 正確ではないが私のメモによると、参加者は約100名。大学の研究者、AFLーCIOの研究員がほとんどであった。

 最初のセッション1は「労働組合を選ぶ自由と団体交渉:その現状と意義」として、労働相談急増の実態、労働争議の仲裁機能の重要性、公務員労働者の組織化と団体交渉の実態、などが報告された。どの報告者も、競争と市場原理の礼賛、いわゆる”ニュー・エコノミー”のなかで、労働基本権が危機に瀕していること、労働基本権は基本的人権であること、この当たり前のことが再度強調されるべきと論じられた。

 続く第2セッションでは「近年の法制は労働者の権利を制限しているか、そうだとすれば、何をなし得るのか?」として、雇用形態の多様化(いわゆる正規雇用の縮小と非正規雇用の拡大)がいかに労働実態を悪化させているかが議論された。「労働者とはいったい誰なのか」、「誰が経営者なのか」、「何が労働で、職場はいったいどこにあるのか」というある報告者の発言は、いま私たちの目前で進行している事態についての鋭い問題提起である。

 第3セッションは、人権としての労働者の人権についての国際比較、第4セッションはアメリカの労働組合の実力の分析である。いずれもニューエコノミー先進国・アメリカでは労働組合と労働者の人権が危機的な状況に陥っていることが主張された。私は、EUとアメリカの労働実態比較をしたある報告、「EUの方がはるかに高い労働条件を維持している」との主張が印象的であった。

 セッション5は「ニューエコノミー時代の労働者の権利」、最後のセッション6は「これからの労働組合への教訓」であった。IT化を背景とした仕事内容の変化、雇用形態の変化、国際化、こうした流れのなかで、従来とは異なる形での組合組織化が必要であるというのが共通した主張であった。私は、その方向は20世紀と同じではないが、労働組合の新しい階級的な再生以外にないと力説した組合役員の報告が強烈であった。

 この研究会でのユーモアを交えた鋭い問題提起と、「口角に泡を飛ばす」議論を聞きながら、私は、日本にも熊沢 誠氏が主宰する研究会、「職場の人権」があることを想起した。もちろん考え方やとらえ方は大きな隔たりがある。しかし太平洋を挟んだ両国で、期せずして同様な動きがあることに大きな感銘を受けた。
 21世紀に入って、新しい時代状況にマッチした働く人々の連帯をどう構築するのか、考え悩むことは多いけれど、声を上げ研究を重ねていくことの大切さを実感できた研究会だった。 

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