メタ超心理学研究室

夏期休暇中の研究活動1


2004年7月30日-8月4日

超常現象信奉に関する質問紙調査分析

担当者:石川幹人

動機:前々回のアーウィン超常現象信奉モデルでは「空想傾向」が要因として重要な役割を果たしていた。今回は他の要因の候補に「自我体験尺度」(渡辺・小松『<私>という謎』新曜社)を取り上げ、超常現象信奉との関連性を調べてみた。

調査法:文学部学生137名に対し2回(昼間プログラム54名、夜間プログラム83名)に分けて質問紙調査を行なった。

分析法:各変数間の相関をSPSSにて計算。
(説明する変数・独立変数) 次の尺度
自己の根拠への問い/自己の同一性の自覚/主我と客我の分離/独我論的懐疑/空想傾向/宗教的背景
(説明される変数・従属変数) 次の信念または体験
テレパシーの存在/念写の存在/予知の存在/遠隔透視の存在/サイコメトリの存在/霊魂の死後存続/生まれ変わり/宇宙人来訪/虫の知らせの体験/体脱体験/金縛り体験/デジャヴ体験/占いの実践/瞑想の実践

分析結果:全体で0.1%レベルの有意性を持った相関は次の2つの相関のみであった。
(1) 自己の根拠への問い 対 テレパシーの存在 R=+.275
(2) 自己の根拠への問い 対 霊魂の死後存続 R=+.285

考察:(擬似相関の可能性)
全体的に見て、今回の分析の相関は(正負を含めてその絶対値が)小さかった。相関の候補は6*14=84あるので、有意性の目処は5%/84=0.06%となる。上述はこの観点からは境界値となり、擬似相関の可能性がぬぐえない。再調査が必要である。
(相関があるとみなした場合)
自己の根拠に対する問題意識の高い者ほど、テレパシーの存在や霊魂の死後存続を信じている傾向が高いと言える。アーウィンのモデルで想定されているような空想傾向というよりも、自己の根拠に対する合理的な問題関心が超常現象の信奉を助長している構図が指摘できる。


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