6. 超心理事例調査研究法

明治大学情報コミュニケーション学部教授
メタ超心理学研究室 石川 幹人

本章では,超心理学の事例調査研究法について解説する。まず,対象事例に密着した参与的研究法が取られる,文化人類学的方法について解説する(6-1)。PSIが起きやすい場に研究者自身が参画し,ときには自ら体験することによって,その社会的背景や発生構造を究明するのである。次に,臨床心理上の研究について触れる(6-2)。臨床家は,PSI現象を体験したと主張する人々と関わることが多く,ある種の参与的PSI研究をしていると見ることもできよう。彼らは一般に,面談(インタビュー)技術にたけており,PSI体験に関する内観分析から心理学的な背景を知る研究にも貢献が期待される(6-3)。PSIに関する意識調査やPSI体験の実態を広く調査するには,質問紙調査が利用できる(6-4)。PSI研究に特徴的なところでは,特異能力者の研究が挙げられる(6-5)。管理実験が難しいことから,事例研究という位置づけで本章に盛り込んだ。最後に,信念を報告する人が陥りやすい誤りについて詳述する(6-6)。研究者にこの誤りの認識がなければ,事例調査研究は迷信の強化手段に化してしまうだろう。
 なお,本章の事例調査研究法は,残念ながら体系的には解説できていない(それはそもそも研究法自体が十分体系化されていないことでもある)ので,次章の「研究の実際」と合わせて,それこそ事例に基づいた理解が望まれる。

第6章の目次
6-1 文化人類学的方法
6-2 臨床心理上の研究
6-3 現象学的方法
6-4 質問紙調査法
6-5 特異能力者の研究
6-6 信じやすさの心理学


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