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第1回例会 カリフォルニア大学バークレー校図書館のレファレンスサービス

2020年12月2日(水)、「2020年度明治大学図書館情報学研究会第1回例会」がオンラインにて開催された。今回の例会では、「カリフォルニア大学バークレー校図書館のレファレンスサービス」をテーマに本学教授の齋藤泰則氏にご講演いただいた。参加者は本学の司書課程受講生を中心に32名(学生30名、一般2名)にのぼり、本研究会会長の阪田蓉子氏の開会挨拶ののち、齋藤氏の講演に移った。

はじめに、齋藤氏が2019年度に在外研究員制度により訪問研究員として在籍していたカリフォルニア大学バークレー校(以下、UCバークレー)について紹介したのち、レファレンスサービスの定義と動向について説明された。米国の大学図書館では約20年間で、図書館利用教育参加者数や相互貸借が増加傾向にある一方、貸出件数とレファレンス質問処理件数が減少傾向にある。レファレンス質問処理件数が減少傾向にある理由について齋藤氏は、図書館利用教育を受けた利用者は、レファレンスサービスの中でも間接サービスを利用し自身で情報探索を行っているのではないか、と指摘した。

次に、UCバークレー内にある24の図書館について蔵書数や各サービスの利用状況など、写真を交えながら紹介された。そして、実際にUCバークレーの図書館員を対象に行った質問紙調査の内容と回答結果を含めながら、ヴァーチャルレファレンスの受付方法と質問内容の傾向についても説明された。また、図書館のホームページでは「サブジェクト・ガイド」やサブジェクト・ライブラリアンへの予約フォームなど専門分野ごとに細かなサービスが展開されており、間接サービス主導でありながら、間接サービスから直接サービスへと導く仕組みについても紹介された。

最後にインターネット時代の大学図書館のレファレンスサービスについて齋藤氏は、サブジェクト・ガイドのような間接サービスの利用を優先する傾向にある一方、現在のようなコロナ禍においては、さまざまなツールを活用しヴァーチャルレファレンスを積極的に導入していくべきであると述べられた。

講演後の質疑応答では、「チャットレファレンスが日本で広まらないのはなぜか」、「公共図書館でのヴァーチャルレファレンスの導入はどのような状況か」といった、講演内容をより深化させた質問が寄せられた。今回の講演を通して、UCバークレーのレファレンスサービスの状況だけでなく、コロナ禍で高まるヴァーチャルレファレンスの可能性についても考えるよい機会となった。講演者・参加者の皆さま、ご協力ありがとうございました。

文責:松野 南紗恵(明治大学大学院)

第2回例会実施せず

シンポジウム実施せず

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