ダイナミクス研究会中野(--FY2016)

最終更新日 2017年10月2日


第20回
日時 2017年2月16日 (木) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 神山 恭平 氏(東京大学生産技術研究所)
講演題目 リアプノフバンドルによる準周期解の局所分岐解析
講演概要 準周期解の局所分岐解析ツールとして 周期解における固有ベクトルを一般化したリアプノフバンドルを考案した。 これは解の各点に稠密に生える解の傾きに対応した 共変リアプノフベクトルの集合である。 n次元トーラスにおいて、リアプノフバンドルは n個のリアプノフ指数に対応しn個存在する。 0でなく絶対値が最も0に近いドミナントリアプノフ指数に対応した ドミナントリアプノフバンドルの形状を調べることで 局所分岐のメカニズムが説明出来ることを示す。 また、この形状を0次元断面におけるバンドルの位相分布から 判別する手法を開発したためこれも説明する。
第19回
日時 2016年11月21日 (月) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 石本 健太 氏(京都大学白眉センター/数理解析研究所)
講演題目 微小スケールにおける遊泳ダイナミクス:流体方程式から見る普遍性と多様性
講演概要 顕微鏡下でしか見ることのできない微生物も、もはやSF世界のものではなくなったマイクロロボットも、その遊泳のダイナミクスは流体方程式に従う。特にこのような低レイノルズ数の世界では、系の対称性から帆立貝定理として知られる遊泳への制限が加わる。本講演では、この帆立貝定理の解説を通して微小スケールの遊泳における流体力学を概観することから始める。その後、境界付近での非線形な遊泳運動について、ダイナミクスの普遍性と多様性を力学系の視点から議論する。さらにより具体的な系として精子の遊泳に焦点を当て、流体方程式の直接数値計算によって見えてきた受精の流体力学的なストーリーについて、最近の結果を踏まえてお話する予定である。
第18回
日時 2016年10月24日 (月) 17時15分 ~ 18時15分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 Stefanie Hittmeyer氏 (University of Auckland, New Zealand)
講演題目 From wild Lorenz-like to wild Rovella-like dynamics
講演概要 We consider a two-dimensional noninvertible map that was introduced by Bamon, Kiwi and Rivera in 2006 as a model of wild Lorenz-like chaos. The map acts on the plane by opening up the critical point to a disk and wrapping the plane twice around it; points inside the disk have no preimage. The bounding critical circle and its images, together with the critical point and its preimages, form the critical set. This set interacts with a saddle fixed point and its stable and unstable sets. Advanced numerical techniques enable us to study how the stable and unstable sets change as a parameter is varied along a path towards the wild chaotic regime. We find four types of bifurcations: the stable and unstable sets interact with each other in homoclinic tangencies (which also occur in invertible maps), and they interact with the critical set in three types of tangency bifurcations specific to this type of noninvertible map; all tangency bifurcations cause changes to the topology of these global invariant sets. Overall, a consistent sequence of all four bifurcations emerges, which we present as a first attempt towards explaining the geometric nature of wild chaos. Using two-parameter bifurcation diagrams, we show that essentially the same sequences of bifurcations occur along different paths towards the wild chaotic regime, and we use this information to obtain an indication of the size of the parameter region where wild Lorenz-like chaos is conjectured to exist. We further continue these bifurcations into a regime where the dynamics change from Lorenz-like to Rovella-like, that is, where the equilibrium contained in the attractor becomes contracting. We find numerical evidence for the existence of wild Rovella-like attractors, wild Rovella-like saddles and regions of multistability, where a Rovella-like attractor coexists with two fixed-point attractors.
第17回
日時 2016年10月6日 (木) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 高橋 博樹 氏(慶応義塾大学理工学部)
講演題目 力学系とスケール極限の連携による異常拡散現象探索の試み
講演概要 穴のあいたビリヤード台上のボールのダイナミクスなど、 ``scattering"や``leaking"があって、それ自体で閉じていない力学系は open systemと呼ばれる。ミクロの世界での時間発展法則として open systemを採用した拡散現象の数学モデルはdeterministic diffusion とよばれる。deterministic diffusionに、確率論の分野などで用いられる スケール極限の手法を変形して適用することで、異常拡散を含む拡散現象の マクロな挙動を記述する方程式を得ることができるのではないか、 との着想に至り、最近になって研究を始めた。 本講演では、この挑戦的(と思われる)研究についてラフに話す。
第16回
日時 2016年7月16日 (土) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 大林 一平 氏(東北大学原子分子材料科学高等研究機構)
講演題目 パーシステンス図の逆問題
講演概要

位相的データ解析 (Topological Data Analysis, TDA)は トポロジーのアイデアを活用したデータ解析手法の総称で、 ここ10年急速に発展しつつある。 パーシステントホモロジーは TDAの有力なツールで、これによってデータの形の情報を 定量的に計算することができる。パーシステンス図は パーシステントホモロジーの可視化手法で、データから この図を計算することでデータの幾何的特徴を調べることができる。 本講演では「パーシステンス図から元の入力データの情報を得る」 いくつかの手法について紹介する。パーシステンス図の実際的な活用のためには このような手法が不可欠である。optimal cycle[1,2]、continuation method[3] といった手法について紹介し、その活用例などを述べる。

[1]T.K. Dey, A.N. Hirani, and B. Krishnamoorthy. Optimal homologous cycles, total unimodularity and linear programming. SIAM J. Comput. 40(4) (2011), 1026--1044.
[2]E. G. Escolar and Y. Hiraoka. Optimal Cycles for Persistent Homology Via Linear Programming. Optimization in the Real World: Toward Solving Real-World Optimization Problems, Springer Japan (2016), 79--96.
[3]M. Gameiro, Y. Hiraoka and I. Obayashi. Continuation of point clouds via persistence diagrams. Physica D. in press. http://dx.doi.org/10.1016/j.physd.2015.11.011.

第16回のセミナーは 学術研究助成基金助成金若手研究(B)
「非線形・非平衡系におけるビリヤード問題の発展~対称性と退化を伴う分岐~」
(代表研究者:宮路智行,研究課題番号:16K17649)
の一環として行われました.

第15回
日時 2016年5月28日 (土) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 西口純矢氏(京都大学大学院理学研究科)
講演題目 無限の遅れをもつ常微分方程式とそのダイナミクスの大域的アトラクタについて
講演概要 時間微分がその過去の値にも依存することをもって,常微分方程式は時間遅れをもつという.時間遅れをもつ常微分方程式は無限次元ダイナミクスを定めることが知られている.
この発表では,無限の遅れをもつ方程式を扱う.これは,方程式の右辺が無限区間の積分を伴う場合や, 方程式に含まれる時間遅れが時間変数や未知関数に依存するような場合に生じうる.無限遅れをもつ方程式に対する相空間の定式化は,Hale and Kato (1978) や Hino, Murakami, and Naito (1991) などによってなされた.近年,H.-O. Walther (Justus Liebig University Giessen) は,連続的微分可能な関数の空間に,関数とその導関数のコンパクト収束による位相を入れた空間を相空間として考え,初期値問題の well-posedness を示した.
発表では,この空間がバナッハ空間ではない(ノルム化できない)ことに触発された,最近の研究を紹介する.具体的には,無限の遅れをもつ方程式に対するフレシェ空間を許した相空間の定式化や,フレシェ空間上の力学系に対する大域的アトラクタの定式化などを述べる.

第15回のセミナーは 学術研究助成基金助成金基盤研究(C)
「多種反応拡散系に現れる解構造の新展開と制御」
(代表研究者:小川知之,研究課題番号:26400214)
の一環として行われました.

第14回
日時 2016年4月16日 (土) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 斉木吉隆氏(一橋大学大学院商学研究科)
講演題目 準周期軌道にまつわるバーコフ平均の高速計算とその応用
講演概要 力学系が生み出すふるまいとして周期的、準周期的、カオス的なものが考えられるが、準周期的なふるまいの見極め、解析は容易ではない。また、ある種の高次元非双曲的カオスのふるまいが準周期軌道の存在によって駆動されることもわかっている。 本研究では力学系の諸量を計算する際に用いるバーコフ平均に滑らかな重み関数を導入することにより、マイルドな仮定の下で準周期軌道にまつわるバーコフ平均の収束を速くできる(軌道長Nに対して誤差が1/Nのオーダーであったものを1/[Nに関する任意の多項式]のオーダー とできる)ことを見出した。これは、準周期軌道とカオス軌道の分離、準周期軌道の回転数計算、準周期的軌道が生み出す集合のフーリエ解析を用いた滑らかさの検証等に応用できる。 セミナーではこれらの内容を実力学系、複素力学系の具体例を用いて紹介する他、時間が許せば高次元力学系における準周期軌道の回転数同定手法に ついても紹介したい。 本研究はS.Das, E.Sander, J.A.Yorkeとの共同研究による。

第14回のセミナーは 学術研究助成基金助成金基盤研究(C)
「多種反応拡散系に現れる解構造の新展開と制御」
(代表研究者:小川知之,研究課題番号:26400214)
の一環として行われました.

第13回
日時 2015年12月15日 (火) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 荒井迅氏(北海道大学大学院理学研究院)
講演題目 On Topological and Combinatorial Computational Methods for Dynamical Systems
講演概要 力学系や流れの構造を、有向グラフやホモロジー群などの離散数学や位相幾何学の手法を用いて解析しようという試みについて解説する。まず、力学系の挙動をカオス的な部分と非カオス的な部分に分解しようという発想に基づく、コンレイ・モース分解のの理論を導入し、その有用性を検証する。また、コンレイ・モース分解では得られない情報を引出すために研究が進められている、ネットワーク理論や離散幾何の手法を応用した試みを紹介する。
第12回
日時 2015年12月2日 (水) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 横山知郎氏(京都教育大学教育学部)
講演題目 ハミルトン曲面流を解析する位相的な手法とその応用
講演概要 曲面上の流体を解析するための位相的な方法を紹介する.具体的には,曲面上のハミルトン流を表現する言語を構成する.特に,この言語を使う事により,専門家が持っている暗黙知の一部を明示化できる.例えば,揚抗比と流線のトポロジーに関係がある事を紹介する.また,この語表現を使う事により,一般的に起こりえる全ての遷移の記述が可能になる.これにより,二つの状態の中間状態を自動的に推定できるようになる.さらに,この手法は流体から位相幾何的に意味のある性質を有限情報として抜き出すので,低コストな位相幾何的手法による流体解析を可能になる.そこで,位相幾何的な手法による現実の流体の問題の解析について議論したい.

 

第11回
日時 2015年12月1日 (火) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 小谷野由紀氏(千葉大学大学院理学研究科D1)
講演題目 2次元軸対称な系における自己駆動粒子の運動の分岐解析
講演概要 単振り子に代表されるような力学的エネルギーが保存する系と違って、生物は栄養を使って運動エネルギーを生み出し、摩擦などによってエネルギーを散逸しながら自発的に動き回る。生物のように、エネルギーの流入出のある系で表れる安定な運動は物理学からも興味が持たれており、自己駆動系、アクティブマターなどと呼ばれている。近年、生物系を簡単化した運動のモデルや、簡易な物理化学系で模倣した実験系が報告されるようになった。
自己駆動系のうち、特に円形領域に閉じ込めた場合や中心力ポテンシャルが存在する場合など、2次元軸対称な系で動き回る自己駆動粒子は回転運動または振動運動をすることが様々な実験系で観察されている。それらの系ではどのようにして回転運動または振動運動が選ばれるか興味深い。そこで、2次元軸対称な空間内の自己駆動粒子の運動を記述する一般的なモデル力学系を構築し、弱非線形解析によって回転運動や振動運動を運動を表す解の存在条件及びその安定性条件を調べた。また、数値計算によって、解析的に調べることが困難な条件の下での粒子の運動を調べ、準周期的な軌道が安定に表れることも見いだした。

 

第10回
日時 2015年11月23日 (月) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 Marcio Gameiro氏(University of São Paulo)
講演題目 Rigorous numerics for ill-posed PDEs: periodic orbits in the Boussinesq equation
講演概要 We present a computer-assisted technique for the analysis of periodic orbits of ill-posed partial differential equations. As a case study, our proposed method is applied to the Boussinesq equation, which has been investigated extensively because of its role in the theory of shallow water waves. The idea is to use the symmetry of the solutions and a Newton-Kantorovich type argument (the radii polynomial approach), to obtain rigorous proofs of existence of the periodic orbits in a weighted $\ell^1$ Banach space of space time Fourier coefficients with geometric decay. We present several computer-assisted proofs of existence of periodic orbits at different parameter values.

 

第9回
日時 2015年11月11日 (水) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 柴山 允瑠 氏(京都大学大学院情報学研究科)
講演題目 特異点をもつハミルトン系の周期軌道の変分解析
講演概要 変分法によりハミルトン系の周期解を求める研究には長い歴史があり,力学の具体的な問題から接触エネルギー曲面の場合など,多様な研究がなされてきた.特に,n体問題やKepler問題のように特異点が現れる系に変分法を適用する場合は,位相的な手法がより可能になると同時に,臨界点が特異点を持つ可能性があるという技術的な困難を伴い,それを解消する研究もなされてきた.
本講演では,n体問題やKepler型ポテンシャル系について,変分法を応用して周期解を求める手法や困難点について述べる.

 

第8回
日時 2015年10月13日 (火) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 大林 一平 氏(東北大学原子分子材料科学高等研究機構)
講演題目 二足歩行モデルの力学系
講演概要 二足歩行の数理モデルの研究には長い歴史があり、単純なものから複雑なものまで様々なモデルが提案、研究されてきた。力学系の観点から言うとモデル上の安定な歩容は力学系のアトラクタに相当し、その解析には力学系の観点が有効であろうと考えられる。これまでの力学系の観点からの研究は数値的なアトラクタの観察やLyapunov 指数の数値計算などが中心で、その計算結果を力学系の観点から説明する研究は少なかった。本講演ではいくつかのモデルを用い、そのアトラクタの吸引領域の形状に注目し、その形状が実は直立状態のサドル的性質と深く関連していることを数値計算と数理的解析の両面から考察する。また、ここで得られた数理的アイデアを実際の歩行の実験データを比較し、その妥当性について考察する。

 

第7回
日時 2015年5月20日 (水) 14時40分 ~ 16時10分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 中野 直人 氏 (国立研究開発法人科学技術振興機構 さきがけ研究者(専任) / 北海道大学)
講演題目 埋め込み時系列解析によるデータから力学の抽出について:手法と応用
講演概要 遅延座標による埋め込み時系列解析は,Takensなどの数学的な研究もあって,これまでさまざまな分野において成果をあげてきたが,そこで用いられる遅延幅や埋め込む次元,高次元に埋め込んだあとの情報の効果的な取り出し方,得られる力学の定量性など,まだまだ明らかになっていない部分がある.本講演では,これらの問いに対する1つの答えについて報告する.ここで用いる手法は埋め込みによって作られるベクトルデータに対する主成分分析であり,その手法の有効性は古典的なFredholmの積分作用素論が数学的に保証する.本発表では,理論だけでなく幾つかの時系列データに対して応用した結果の紹介も交えて議論したい.

 

第6回
日時 2015年2月9日 (月) 16時00分 ~ 17時30分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室3
講演者 ○飯田 渓太 氏 (東北大学大学院医学系研究科),木村 芳孝 氏 (東北大学大学院医学系研究科)
講演題目 確率論的数理モデルを用いた遺伝子発現解析
講演概要 遺伝子発現解析は主に生物組織の多様な機能や疾患に関わる遺伝子産物(RNA,タンパク質)の役割を調べるために用いられる.遺伝子発現解析により,これまで種々の細胞分化を誘導する遺伝子群が発見され,新規細胞の設計などに役立てられてきた.一方,発現調節の機構については実験的結果が多数報告されてはいるものの,統一的な理解が得られていない.システム生物学は,生命を「複雑系」として理解する方針と手続きを示したが,具体的な解析手法については新規理論が求められている.
 本講演では,免疫細胞(B細胞)の分化を例に挙げ,我々が行っている遺伝子発現のシステム解析について紹介する.その中で,細胞集団における発現量の「ばらつき」や転写・翻訳過程における「ゆらぎ」を計算する確率論的数理モデルから,生命現象の何が予測・解明できるのかについて議論したい.鍵となる数学的結果は,遺伝子の活性状態(いわゆる「ON/OFF」)が多様な発現パターンを引き起こすこと,および確率分布の平均値が決定論的な方程式で記述でき力学系としての分岐を起こし得ることである.前者は細胞個々の多様性を,そして後者は細胞集団としての調和性を示唆しているが,これらの関係が明らかになれば,個々の細胞を要素とする「複雑系」がどのように細胞分化の進行を調節するかが予想できる筈である.
 最後に,可能であれば1細胞レベルの発現量を記録した実験データもお見せしたい.生命科学における新規理論の構築において実データを見ることが如何に大切であるかが実感できる筈である.現在,分化細胞と未分化細胞を分類するためのクラスター分析も行っているので,その結果についても是非紹介したい考えている.

 

第5回
日時 2014年10月28日 (火) 15時00分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室1
講演者 関坂 歩幹 氏 (東北大学)
講演題目 絶対スペクトルの位相的性質とgluing pulseの安定性との関係
講演概要 絶対スペクトルは有界区間上の発展方程式の定数定常解あるいは空間周期的定常解の固有値問題に対して、B. Sandstede-A. Scheelが区間サイズを無限大としたときの固有値の挙動を調べるために導入した概念である。多様体上の微分作用素のスペクトルは多様体のトポロジーと深く関係することはよく知られている。実際、閉区間上の微分作用素のスペクトルは固有値だけからなるが、非有界区間上においては本質的スペクトル(連続スペクトル)が現れる。絶対スペクトルは大雑把に言うと、DirichletやNeumann境界条件を含む分離境界条件において、区間サイズを無限大としたときの固有値の集積点集合として特徴付けられる。他方、周期境界条件の場合には絶対スペクトルは、非有界な一次元実直線上でスペクトル問題を考えた場合に現れる本質的スペクトル上に分布することが知られている。本講演では、絶対スペクトルが持つ位相的性質が、固有値問題を書き直したGrassmann多様体上の方程式にどのように持ち上げられるかを解説する。さらに、反応拡散系におけるgluing pulseと呼ばれる結合分岐から発生する進行波解の安定性と絶対スペクトルの関係を幾何学的視点から説明する。

 

第4回
日時 2014年7月16日 (水) 16時30分~18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階セミナー室1
講演者 宮路 智行 氏 (京都大学数理解析研究所)
講演題目 三次元常微分方程式系の周期軌道の計算機援用解析
講演概要 [Craik & Okamoto, Phys. D, 164(2002), 168--186] で三次元Navier-Stokes方程式の厳密な特殊解の構成で現れる常微分方程式系の理解に向け提案された,三次元常微分方程式系と関連する方程式への計算機援用解析を紹介する.Craik-Okamoto方程式が定める力学系は相空間体積を保存する.先行研究の数値計算によれば,その大多数を占める非有界な軌道の運命は孤立した不安定周期軌道に支配される.この周期軌道のまわりでは四つ葉状の軌道が描かれる.一方,方程式に適当な減衰項と成長項を加えると,安定な四つ葉状のカオス的アトラクターが生じうる.本講演では,常微分方 程式への精度保証付き数値計算の応用手法を紹介する.数学解析,数値計算,および精度保証付き数値計算を用いて,四つ葉状のカオスに至る理由を明らかにしたい.

 

第3回
日時 2014年3月4日 (火) 16時30分 ~ 17時30分
会場 明治大学中野キャンパス 6階 研究セミナー室1
講演者 Dr. Pawel Pilarczyk (University of Minho, Portugal)
講演題目 Automatic classification of global dynamics via Morse decomposition in dynamical systems with parameters
講演概要 global dynamics on a bounded set in R^n in a family of discrete-time semidynamical systems with a few parameters. In this approach, the global dynamics is represented by means of a combinatorial version of Morse decomposition. Morse decompositions computed for adjacent parameter ranges are matched and provide rigorous continuation results. A basis for this method was introduced in the paper by Arai et al. [SIADS 8 (2009), 757-789]. Some new developments and applications of this method will also be briefly illustrated.

 

第2回
日時 2013年10月23日(水) 16時30分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 平岡 裕章 氏 (九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所)
講演題目 パーシステントホモロジー群入門
講演概要 パーシステントホモロジー群とその幾つかの応用について入門的解説を行う。パーシステントホモロジー群とは、近年開発された従来のホモロジー群を拡張した概念であり、統計・データ解析・材料科学・情報通信など様々な分野への応用が進められている。また数学的には可換環論・箙の表現論・確率論などとも密接に関係しながら活発に研究が進められている。これらの話題について概観し、表現論との関わりやデータ解析への応用についても解説を行う。

 

第1回
日時 2013年7月17日(水) 17時00分 ~ 18時00分
会場 明治大学中野キャンパス 6階 研究セミナー室3
講演者 國府 寛司 教授 (京都大学大学院理学研究科)
講演題目 ダイナミクス全構造計算による力学系の相空間構造解析の方法とその応用
講演概要 ダイナミクス全構造計算法とは,力学系の相空間の大域的構造をトポロジーと精度保証付き数値計算を融合した計算機支援解析の方法をいう.この講演では,ダイナミクス全構造計算法の基本的部分を解説し,それをいくつかの力学系に適用した計算結果を紹介する.また,より現実的な応用を念頭に,未知の力学系の時系列データからダイナミクスの情報を得る可能性についても,実データを用いた具体例の解析結果も合わせて議論したい.

 

 


セミナー世話人

小川知之(明治大学総合数理学部)
池田幸太(明治大学総合数理学部)
坂元孝志(明治大学理工学部)
宮路智行(明治大学研究・知財戦略機構)

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