(注)
 1.例えば、日本語の系統論は、国語学の研究分野ではないことになる。国
   語学者が、系統論に対して発言することがある(あった)が、それは、国語
   学の一分野としての研究ではなく、あくまでも、比較言語学の一分野と言う
   べきである。逆に言えば、比較言語学の定石を知らないで、国語学的な知
   識だけで、系統論を論ずることは、非常に危険である(ある国語学者による
   系統論への発言に対して、言語学者たちから指摘されたのは、まさに、その
   ことであった。中には、「ギリシア語についての(系統論関係の)論文を一本
   でも書いてくれれば、それを採点して上げられるんだけれどもね」などと、厳
   しい皮肉を浴びせた人さえもいる)。

   同様に、例えば、日中対照研究(中国語から言えば「中日対照研究」)も、
   国語学者が行なうこともあるし、日本人の中国語研究者が行なうこともある
   し、中国人の日本語研究者が行なうこともある。例えば、中国語研究者が行
   なっている、日中対照研究に対して、「「国語学」をやっているんですね」と
   発言することが適切でないことからも、日中対照研究が「国語学」の一分野
   でないことは明らかと言えよう。