英語教育
*岩波新書で鈴木孝夫『日本人はなぜ英語ができないか』(660円)という本が、1999年のベストセラーになりましたが、英語ができる人材を育てるために、具体的な提案が幾つもなされています。皆さんも読んでみてください。
「近年文部省や各界の有識者が、英語教育の重要な柱の一つとして強調する『国際理解』はもちろんのこと、英米の文化や文学といったものすべてを、英語のクラスから追い出すこと」(97-98頁)
「外国の事情を知り、外国から何かを学ぶ目的で、もっぱら国内向けに学校で学んだ、情報の受信解読専用の英語力では、逆に外国に向かって、自分の考えや日本の事情を説明し、相手を納得させるという、外向きの発信は必ずしもうまくゆかない」(106頁)
「学生たちは将来社会に出たとき、国の内外において外国の人から求められた際に、自分のこと日本のことを、外国語で思い切り話したり書いたりできなくては困る時代になっている」(108頁)
「英語のクラスでは、これまでよく見られた英米の短篇小説を読むとか、外国のさまざまな問題を扱った論説やエッセイなどを用いることを一切やめて、テキストのすべてを日本の歴史や社会、日本文学や日本人の書いたいろいろな種類の文章を、英語化したものに統一すべき」(130-131頁)
*本名信行『アジアをつなぐ英語−英語の新しい国際的役割』(アルク新書、1999年、880円)も推薦します。
「世界中で英語の話し手はネイティブ・スピーカーよりもノンネイティブ・スピーカーの方が断然多い・・・その割合は多く見積もると、3対17になる」(17頁)
「現代の英語は多国間、多文化間交流を可能にする言語であり、自分の文化を表現する言語でもあるし、他の多様な文化を理解する言語でもある。従って、特に英米文化と結びつけなければならないという必要は、どこにもない」(17頁)
「英語を母語としない人々は英米の文化を学習するために、そしてネイティブ・スピーカーと同じように話すために英語を勉強しているわけではない。むしろ、自分が属している民族、文化を意識して自分を国際的な場面で表現する道具として、英語を使おうとしているのである。すなわち、英語を学習するからといって、何もアメリカ人やイギリス人の行動規範に同化することにはならない。英語は英米文化を模倣する手段ではなく、世界の人々を相手に、自分の思うこと、感じること、すなわち自分のアイデンティティを表現する道具なのである」(22頁)
「英語が使える日本人」の育成のための行動計画(2003年3月31日)
○ 各大学の入学者選抜の改善の促進
各大学が設定する英語力の達成目標などをもとに、入学者に求める英語力を明確にし、特にコミュニケーション能力を重視する観点から、リスニングテストなどコミュニケーション能力が適切に評価される選抜方法の改善に関する各大学の取組を促進する。
○ 各大学が、仕事で英語が使える人材を育成する観点から、達成目標を設定
○ 大学英語教育実施状況調査の実施
各大学における英語教育の達成目標の設定状況などを調査・公表し、大学における英語教育の改善のための一層の取組を促す。
○ 「特色ある大学教育支援プログラム」の推進
平成15年度から「特色ある大学教育支援プログラム」を実施し、英語教育の改善を含む、大学教育の改善に資する種々の取組のうち特色ある優れたものを選定し、今後の大学教育の改善に活用する。
○ 大学入試及び高校入試での外部検定試験結果の活用の促進
大学や高等学校の入学者選抜においては、各種外部検定試験の内容・程度や受験者の実態等に配慮しつつ、後述の英語教育に関する研究の結果を踏まえ、各種会議等を通じて、英検やTOEFL、TOEIC、ケンブリッジ大学英語検定試験などの一層の活用を促す。
○ 大学の英語教育の在り方に関する研究
高等教育における人材育成の多様性を踏まえつつ、「大学を卒業したら仕事で英語が使える」人材を育成する観点から、教科内容の改善や大学間の協力体制の構築、大学教員養成の在り方等について、具体的なモデル事例を策定する。
○ 英語による特別コースへの参加の促進
外国人留学生を対象として大学で実施されている英語による特別コースへの日本人学生の参加を促す。
英語指導方法等改善の推進に関する懇談会 (文部科学省の審議会、2001年1月17日に答申)
1 大学英語教育の現状と課題
英語は、現状において国際共通語として最も中心的な役割を果たしており、英語能力は、情報リテラシーと併せてグローバルな知識や情報を吸収、発信し、対話、討論するための基本的な能力として重要である。その重要性にかんがみ、各大学においては様々な取組が行われているところであるが、読解力の育成に偏り、聞く力、話す力が育成されていない、あるいは読解力についても必ずしも十分ではないという批判もある。
2 大学英語教育の目標
大学においては、国際化、グローバル化の進展に対応するためには、すべての学生が上記のような能力を身に付けることが必須となっていくとの視点に立って、LL教室、インターネットなどの情報通信機器、外国人やバイリンガルの人材の活用などにより、学生の英語力の一層の向上を図ることが必要である。
また、同時に、国際社会で知的リーダーシップを発揮することができるような人材を養成することも大学が担うべき重要な役割であり、そのような観点からは、単なる英会話能力に終わることなく、異なる文化や歴史、伝統に対する深い理解なども兼ね備えた高度のコミュニケーション能力を持つ人材を養成することが必要である。このため、様々な授業科目の履修を通じて幅広い教養を養うほか、外国語による討論やプレゼンテーションなども取り入れた実践的な教育内容・方法の工夫・改善に取り組むことが求められている。
3 大学英語教育の改善方策
大学における英語教育を考える際には、英語を専門とする学部・学科・課程における教育だけではなく、その他の学部・学科・課程における教育も含め、大学教育全体における英語教育といった観点から検討を進める必要がある。
今後の我が国の大学においては、2で述べたような方向での大学における英語教育の改革を進めるとともに、国際化、グローバル化の進展に対応し、今後の我が国の大学においては、「英語を学ぶ」授業から「英語で学ぶ」授業へのカリキュラム改革を一層推進していくことも必要である。また、TOEIC、TOEFL等国際的通用性の高い試験に係る学習成果についての単位の認定を行うなどの工夫も必要である。
また、大学で教育研究に携わる教員については、国籍にかかわらず、広く世界各国から優れた人材を採用することが、我が国の大学が内からの国際化に積極的に取り組むためにも有益である。
さらに、広く大学教員の英語力の強化を図る必要がある。とりわけ英語教員の英語力、特に英語によるコミュニケーション能力の向上が不可欠であり、今後、各大学においては、教員採用時にこの点を考慮するとともに、その英語力の向上を組織的に支援していくような方策、例えば、海外での語学研修の機会の提供、海外の教員との期間を限定した交換制度などについても積極的に取り組んでいくことが必要である。
大学は、高等学校以下における英語教育を踏まえ、専門分野に必要な英語力や国際的に活躍する人材などに求められる英語力などの高度なコミュニケーション能力を身に付けさせる責務を担っていると考える。各大学においては、このことを十分に認識し、国際的に一層開かれた大学づくりを進めるとともに、上述した改善方策に積極的に取り組むなど、英語教育の一層の充実を図っていくことが必要である。
大学審議会答申「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」(2000年11月22日)
(外国語によるコミュニケーション能力の育成)
グローバル化が進展する状況においては,外国語を駆使する能力が不可欠である。とりわけ英語は,現状において国際共通語として最も中心的な役割を果たしており,英語力は後述の情報リテラシーと併せてグローバルな知識や情報を吸収,発信し,対話,討論するための基本的な能力である。
各大学においては,英語をはじめとする外国語によるコミュニケーション能力を重視して,外国語を聞く力や話す力の一層の向上を図るとともに,外国語で討論したりプレゼンテーションを行ったりできる能力を育成するための教育内容・方法の工夫改善が必要である。
また,TOEFL,TOEIC等国際的通用性の高い試験の成績に応じて単位の認定を行ったり,これらの試験の成績を各大学の教育目標に応じて入学者選抜に利用することなども考えられる。
今後は,特に国際共通語としての重要度等が高まる言語あるいは近隣のアジア諸国の言語の教育について積極的に改善に取り組むことが必要である。
*文部省は1987年から外国語教育の振興のため、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(JETプログラム)を推進しています。皆さんが通った中学校や高校で、このプログラムで派遣された外国人の先生(外国語指導助手)に習ったでしょうか。
学生の視点
新海美咲(明治大学商学部2年)「大学における英語教育の改革」+資料 (2003年2月)
(2003年7月更新)