地方自治体と多文化共生

地域社会における多文化共生の担い手は、地方自治体、国際交流協会、市民団体、学校、自治会・町内会など様々ですが、ここでは、自治体に注目します。外国人の居住が特定の地域に集中することが多いこともあって、国よりも一部の自治体の方が、外国人受入れの体制作りに熱心です。(以下、私がかかわりをもった自治体を中心に挙げています。)

多文化共生施策に熱心な自治体

<市町村>

静岡県磐田市(総人口17万、外国人0.85万、5%、生活文化部共生社会推進課多文化共生係) *多文化共生推進プラン(07)
群馬県邑楽郡大泉町(総人口4万、外国人6千、15%、企画部国際協働課) 大泉町多文化共生コミュニティセンター
群馬県太田市(総人口15万、外国人0.7万、5%、市長室秘書課国際交流係) 太田市情報
愛知県豊田市(総人口35万、外国人1.1万、3%) 国際課(99)→社会部自治振興課 国際化推進大綱(2001)
愛知県豊橋市(総人口37万、外国人1.5万、4%) 国際交流室(00)→国際交流課ふれあい推進係(02)
岐阜県美濃加茂市(総人口5万、外国人0.5万、10%、市民まちづくり推進課多文化共生室) 第4次総合計画(2000〜09)基本計画 
岐阜県可児市(総人口10万、外国人5千、4.6%、企画部まちづくり推進課) 可児市の国際課施策 国際化施策大綱(2000) 第三次総合計画(2001〜10)基本計画第5節「国際化・国際交流」
大阪府豊中市(総人口40万、外国人0.5万、1.2%、人権文化部文化国際課) *国際化施策推進基本方針(00)
大阪府高槻市(総人口36万、人権生活文化部人権推進課)
大阪府箕面市(総人口12万、外国人0.2万、1.4%、人権文化部人権推進課)*外国人市民に関する施策のあり方について
東京都立川市(総人口17万、外国人0.3万、1.9%、産業文化部市民活動課国際化係) *「多文化共生推進プラン」(05)
東京都新宿区(総人口30万、外国人3万、10%地域文化部文化国際課)  *統計(住民基本台帳人口と外国人登録人口) *新宿区の多文化共生事業
東京都足立区(総人口66万、外国人2.3万、3.5%、区民部区民課) *多文化共生推進計画(06)

<政令指定都市>

浜松市(総人口82万、外国人3万、4%企画部国際課)  *世界都市化ビジョン(2001、2007) *カナルハママツ 
川崎市(総人口128万、外国人2.5万、2%、市民局人権・男女共同参画室)  *「人権・共生のまちづくり」をめざして―人権施策推進指針(00) *多文化共生社会推進基本指針(05)
大阪市(総人口259万、外国人12万人、4.6%、市民局人権部) *国際化推進基本指針(97、02)  *外国籍住民施策基本指針(98、04改定)
広島市(総人口116万、外国人1.6万、1.4%、市民局人権啓発部国際的人権問題担当) *外国人市民施策 *「多文化共生のまちづくり推進指針」(06)
京都市(国際化推進室
神戸市(生活文化観光局国際交流課) *地域国際化基本指針(05)

<都道府県>

愛知県(総人口730万、外国人21万、2.9%、県民生活部国際課) *国際交流 *国際化推進プラン(03) *多文化共生社会づくり事業 *多文化共生社会づくり推進会議(06)
神奈川県(総人口868万、外国人14万、1.6%、県民部国際課) *国際政策推進プラン(91) *新国際政策推進プラン(97、00改訂) *地域福祉の推進について(02)
大阪府(総人口884万、外国人21万、2.4%、企画調整部人権室国際課) *国際化推進基本指針(92) *人権教育のための国連10年行動計画(97)  *人権尊重の社会づくり条例(98)→人権施策推進基本方針(01) *人権教育のための国連10年後期行動計画(01)  *在日外国人施策に関する指針(02)
兵庫県(総人口558万、外国人10万、1.8%、産業労働部国際交流局国際政策課) *地域国際化推進基本指針(94、フォローアップ方策99) *国際交流推進指針(96)
宮城県(総人口235万人、外国人1.6万人、0.7%、) 多文化共生社会の形成の推進に関する条例(07)
福島県(総人口212万、外国人1.3万、0.6%、総務部知事公室国際交流グループ)  *国際交流 *国際施策基本計画(01)
長野県(総人口222万、外国人4万人、1.9%、総務部国際課) *国際交流
三重県(総人口186万、外国人4万人、%、生活部国際チーム
岐阜県(総人口210万、外国人4万、2.1%、地域県民部国際室) *岐阜県国際交流センター「岐阜県における多文化共生の推進に向けて(提言)」
群馬県(総人口203万、外国人4.6万、2.3%、多文化共生支援室) *外国人と共生する街づくりプロジェクト

その他の自治体

東京都板橋区(総人口52万、外国人1.3万、2..6%)−国際交流課(93)
東京都武蔵野市(総人口13万、外国人0.23万、1.7%)
神奈川県大和市(総人口21万、外国人0.49万、2.3%
岐阜県大垣市(総人口15万、外国人5千、3.5%、企画部秘書広報課企画・公聴係)

横浜市総人口352万、外国人6.5万、1.8%、総務局国際室国際課)
名古屋市(総人口219万、外国人5万、2.3%、市長室国際交流課、市民経済局地域振興部地域振興課)
福岡市(総人口134万、外国人1.9万、1.4%、総務企画局国際部国際企画課) 国際化推進計画(2003)
仙台市(総人口103万人、外国人1万人、1%、企画市民局総合政策部交流政策課国際交流係) 多文化共生推進行動計画(99)

岩手県(総人口140万、外国人6500、0.5%、地域振興部文化国際課)
東京都(総人口1222万、外国人33.5万、2.7%東京都生活文化局文化振興部事業推進課地域国際化推進係) *国際政策推進プラン(97) *人権政策推進指針(00)
茨城県(総人口300万、外国人4万、1.3%、生活環境部国際交流課)
福岡県(総人口505万、外国人4万、0.8%、生活労働部国際交流課) 国際化推進プラン(1997)→国際化推進プラン(2002)

*日本の総人口は1億2762万、外国人は197万で1.6%(2004年末現在)。なお、上記の外国人人口は外国人登録者数で、超過滞在者などは含まれていません。自治体のデータは、なるべく頻繁に更新していますが、古いものも含まれています。

前田育穂「川崎市における外国人住民施策の形成過程分析」(2000年、慶応大学総合政策学部・片岡正昭研究会卒業論文)

*国際交流基金による地方自治体の国際化・国際交流施策データベース(2001年末現在の都道府県・政令指定都市データの収録)

Nippon-Net:全国の地方自治体の検索エンジン

*外国人の数が10万人以上の都道府県(2004年末現在):東京都(35万)、大阪府、愛知県、神奈川県、埼玉県、兵庫県
*外国人の比率が2%以上の都道府県(2004年末現在):東京都(2.8)、愛知県、大阪府、静岡県、岐阜県、群馬県、三重県、京都府
*外国人の比率が0.5%未満の都道府県(2004年末現在):北海道(0.3)、鹿児島県、青森県、秋田県、宮崎県、熊本県、佐賀県、長崎県、岩手県、高知県


国際交流協会

総務省(旧自治省)では、地域の国際化は自治体のみでなし得るものではなく、民間国際交流組織の活動が不可欠であるとの認識のもとに、旧自治省の指針に基づき県等が作成した「地域国際交流推進大綱」に位置づけられ、地域の国際交流を推進するにふさわしい中核的民間国際交流組織を「地域国際化協会」として認定し、各種の支援措置を行っています。1999年6月現在、59の都府県・政令指定都市における中核的民間国際交流組織が地域国際化協会として認定され、自治体国際化協会が支援しています。

全国の地域国際化協会(すべて財団法人、カッコ内の数字は設立年):

東京国際交流財団(94)、神奈川県国際交流協会(77)、 埼玉県国際交流協会(87)、千葉県国際交流協会(90)

群馬県国際交流協会(90)、栃木県国際交流協会(88)、茨城県国際交流協会(90)

横浜市国際交流協会(81海外交流協会、82財団化、99国際交流協会に名称変更)、川崎市国際交流協会(89)

福島県国際交流協会(88):多文化共生のひろば岩手県国際交流協会(89)、宮城県国際交流協会

愛知県国際交流協会(84)、名古屋国際センター(84)、岐阜県国際交流センター(89)

大阪府国際交流財団(89)、大阪国際交流センター(87)

兵庫県国際交流協会(90)、神戸国際協力交流センター(93国際交流協会)

ひろしま国際センター(89)、広島平和文化センター(84国際交流協会、98広島平和文化センターと統合)
 
その他の自治体が作った国際交流協会:

(財)大和市国際化協会(94)、武蔵野市国際交流協会(89)、(財)三鷹国際交流協会(89、 96財団化)、(財)板橋区文化・国際交流財団(89国際交流協会、01文化財団と統合)、(財)新宿文化・国際交流財団(93国際交流協会、99文化センターと統合)

杉並区文化・交流協会(93杉並区国際交流協会、00文化振興協会と統合)

(財)浜松国際交流協会(82、91財団化)、(財)とよなか国際交流協会(93)、(財)箕面市国際交流協会(92)

(財)豊田市国際交流協会(88)、(財)豊橋市国際交流協会(89)

大泉国際交流協会(95)、太田市国際交流協会

(財)大垣国際交流協会可児市国際交流協会美濃加茂国際交流協会

川崎市ふれあい館条例):川崎市が1988年、在日コリアン多住地域に多文化共生を目的に設置した日本初の公的施設。 *「重度館長

地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ、98):神奈川県が地球市民意識の醸成をめざして横浜市栄区に設立。

リバティおおさか(大阪人権博物館):大阪府が設置した日本初の人権博物館

横浜市国際交流協会「国際文化都市ヨコハマの再生に関する調査報告−横浜市における多文化ネットワークの形成」(1996年)

関西情報・産業活性化センター地域社会における多文化共生への試み−NPOを媒体として」(1997年)「地域と多文化共生」『近畿の市町村』第5号(1999年)


自治体がつくった多文化共生の拠点

川崎市ふれあい館(1988年6月開設)

しんじゅく多文化共生プラザ(2005年9月開設)


外国人集住都市会議:「ニューカマーと呼ばれる南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住する都市の行政並びに地域の国際交流協会等をもって構成し、外国人住民に係わる施策や活動状況に関する情報交換を行うなかで、地域で顕在化しつつある様々な問題の解決に積極的に取り組んでいくことを目的として」2001年5月に13市町が参加して設立(現在22市町)。「分権時代の新しい都市間連携を構築し、今後の我が国の諸都市における国際化に必要不可欠な外国人住民との地域共生の確立を目指していく」

参加都市:[静岡県]浜松市、磐田市、湖西市、富士市(02年加入)、[岐阜県]大垣市、可児市、美濃加茂市、[三重県]四日市市、鈴鹿市、上野市(03年加入)、[愛知県]豊橋市、豊田市、岡崎市(05年加入)[群馬県]太田市、大泉町、[長野県]飯田市、上田市(05年加入)

<参加都市のトップ3>
総人口:浜松市(81万)、豊橋市、豊田市 外国人人口:浜松市(3万)、豊橋市、豊田市 ブラジル人人口:浜松市(1.2万)、豊橋市、豊田市
外国人の比率:大泉町(15%)、美濃加茂市(7%)、湖西市(6%) 外国人人口に占めるブラジル人の比率:大泉町(77%)、磐田市、美濃加茂市


地方自治における外国人の政治参加

外国人会議

現在の日本のシステムでは、在日外国人に参政権はありません。そうした外国人も住民として地域社会に参加してもらうために、一部の地方自治体は新たな試みを始めました。その一つが外国人会議です。これは、公募、指名、推薦などによって、外国人住民の代表を選び、その人達が会議を開いて、自治体に様々な提言を行うものです。

◎住民投票

滋賀県米原町で2002年3月31日、町の合併問題に関する住民投票が行われ、戦後初めて、永住外国人が投票を認められました[民団新聞関連記事]。全国初の「常設型」住民投票条例がある愛知県高浜市でも、常設型としては、戦後初めて永住外国人に投票を認めるため、6月に条例を改定しました[民団新聞記事1記事2]。一方、鳥取県では、知事の諮問機関として設置する「日野郡民会議」の委員選出にあたり、一定の条件を満たす永住外国人に投票資格と立候補権限を付与することを検討しています[民団新聞関連記事]。

◎都道府県における地方公務員一般事務職の永住外国人への開放(「民団新聞」2002年9月25日記事
 (1997)高知、神奈川  (1998)沖縄  (1999)大阪、三重  (2000)滋賀、鳥取、大分  (2001)愛知、岩手、奈良


総務省(旧自治省)の国際化施策

自治省は各都道府県及び指定都市に対して、1989年2月、「地域国際交流推進大綱の策定に関する指針について」を通達し、地域国際交流推進大綱の策定と海外地域との姉妹交流、外国青年招致事業(JETプログラム)等を中心とする地方公共団体の国際交流施策の充実化を求めました。さらに、1995年4月には、「自治体国際協力推進大綱の策定に関する指針について」を通達し、自治体国際協力推進大綱の策定と、自治体職員協力交流事業などによる研修生の受け入れや専門家の派遣などの人的協力の分野を中心とした地方公共団体の国際協力施策の発展を求めました。

自治体国際化協会(地域の国際化を推進する旧自治省の外郭団体、1988年設立)

全国市町村国際文化研修所(国際文化アカデミー、自治体における国際化の進展に的確に対応し、効率的な市町村行政が推進されるよう市町村職員の国際化対応能力の育成・向上を図る研修所として1993年開講)

共生のまちづくり懇談会(1999年10月〜2002年3月): 「住民のニーズが多様化する中、高齢者や障害者をはじめ、児童や女性、外国人、単身者といった固有のニーズを持つ地域住民に配慮したまちづくりの重要性が高まっている。このような観点からまちづくりを進めていくためには、今後は、地域に求められている多様なニーズを汲み上げていき、また、具体的に施策に反映させていくシステムを整備する必要がある。このため、「共生のまちづくり懇談会」を開催し、すべての人にやさしいまちづくりを推進していくための推進体制等について検討を進め、地方公共団体がまちづくりを推進する際の参考に資するものを取りまとめる。」 *最終報告書

外務省による地域の国際化への支援


◎ドイツの地方自治体

ベルリン市外国人問題担当官事務所(Auslaenderbeauftragte des Senats von Berlin
 1981年設立。担当官は、Barbara John (1981-)。人口約340万人のうち、外国人数は435,117人(13%)で、トルコ人(29%)、旧ユーゴ出身者(14%)、ポーランド人(7%)が多い。

フランクフルト市多文化局(Amt fuer multikulturelle Angelegenheiten
 1989年設立。局長は Rosi Wolf-Almanasreh(1989-)。人口約65万人のうち、外国人は約19万人(3割)で、ドイツで外国人の比率が最も高い。その4分の1がEU市民。市内の学校に通う子どもたちの4割が、外国出身の親を持つ。1992年1月に始まった(選挙は1991年12月)外国人代表者会議(Kommunale Auslaender- und Auslaenderinnenvertretung, KAV)を持つ。1997年11月に2回目の選挙が行われた。選挙権は18歳以上のすべての外国人に認められる(二重国籍者と帰化者を除く)。被選挙権は、フランクフルトに6ヶ月以上住んでいる18歳以上の外国人に認められる(二重国籍者と帰化者を含む)。2001年11月に3回目の選挙が行われた。なお フランクフルトも属するヘッセン州では、1993年4月から1000人以上の外国人を有する自治体での外国人会議の設置が義務付けられている。


2008年12月更新 | HOME