明治大学知的財産法政策研究所

Intellectual Property Law and Policy Institute (IPLPI) at Meiji University

2022 令和4年

*議事録等の資料についてはArchiveのページをご覧ください。

2022年12月27日
明治大学知的財産法政策研究所(IPLPI)シンポジウム
     「音楽教室事件最高裁判決を語る」

科学研究費補助金 基盤研究A「著作権侵害対策におけるインターネット上の媒介者の役割」(研究代表者:高倉成男)
主催:明治大学知的財産法政策研究所

【開催の趣旨】
 20221024日、最高裁判所は、民間の音楽教室のレッスンにおける生徒の演奏につき、音楽教室ではなく生徒自身による演奏であるとして演奏権の侵害に該当しないとした原審の判断を維持する判決(最一小判令和4年10月24日令和3(受)1112〔音楽教室上告審〕審〕)をなしました(原審の判断のうち、音楽教室における教師の演奏については音楽教室の行為として演奏権の侵害に該当するとの判断に対する音楽教室事業者側の上告受理申立てについては、2022728日付で上告不受理決定がされているようです)。
 この音楽教室事件を巡っては、音楽教育のあり方等の点から社会的な関心を集めるとともに、著作権法上の様々な法的論点でも大きな議論を呼んでいるところです。
 本シンポジウムでは、音楽教室事件上告審判決後の、著作物の利用行為の主体の認定のあり方、そして音楽教室における著作物の利用のあり方を中心に議論を行い、皆様と共に考えたいと思います。

【開催日時】 20221227日(火) 1030分~1230
【実施形態】 Zoomウェビナー形式 定員300名(予定)

【プログラム(予定)】
主催者挨拶 
第一部 基調講演
 上野達弘(早稲田大学教授)
第二部 パネル討論・質疑応答
登壇者(敬称略、50音順)
 上野達弘(早稲田大学教授) 
 奥邨弘司(慶應義塾大学教授)
 福井健策(弁護士 骨董通り法律事務所for the Arts代表) 
 (司会) 金子敏哉 (明治大学教授、明治大学知的財産法政策研究所代表)

202245(2022322日より変更)
明治大学知的財産法政策研究所(IPLPI)シンポジウム
     「知的財産法制と憲法的価値」

科学研究費補助金 基盤研究A「知的財産権と憲法的価値」(研究代表者:高倉成男)
主催:明治大学知的財産法政策研究所

【日程変更について】(323日追記)
 本シンポジウムは当初202232218時からの開催を予定していましたが、電力の需給状況のひっ迫に鑑み、開催を延期し、新たな開催日程を20224518時からに変更させていただきました。
 日程変更についてご迷惑をおかけした皆様に御詫び申し上げます。

【開催の趣旨】
 明治大学知的財産法政策研究所では、平成27年度より研究プロジェクト「知的財産権と憲法的価値」(科学研究費補助金基盤研究(A)、代表者:高倉成男)を実施してきました。この研究プロジェクトによる研究成果のまとめとして202228日に論文集『知的財産法制と憲法的価値』(有斐閣)(以下論文集)より出版しました。
 本シンポジウムでは、論文集の出版を契機として、論文集に収録された一部の論文の概要を紹介しつつ、知的財産法制(特に著作権法制)と憲法的価値の関係について、両者の関係を議論することの理論上・実務上の意義も含めて、議論をしたいと考えています。
 
【開催日時、会場】
202245日(火) 18時から20時 (1750分開場予定)
(上記【日程変更について】記載の事情により、当初開催予定の322日から開催日を変更させていただきました)
Zoomを用いたウェビナー形式で実施をします。

【定員】
300名(会費無料)

【プログラム】
18時~185分 主催者挨拶 高倉成男(明治大学教授)

185分~1855分 報告
木下昌彦(神戸大学教授)
 「序論――知的財産法制における憲法の三つの役割」・「著作物を公表する自由と公表しない自由──公共の利害に係る未公表著作物の公表は違法となるか──」
渕麻依子(神奈川大学准教授) 
 「著作権法の解釈と裁判所の役割──権利制限規定をめぐる議論の手がかりとして」
比良友佳理(京都教育大学講師)
 「著作権と基本権をめぐる欧州人権裁判所と欧州司法裁判所の協働と乖離」
金子敏哉(明治大学教授)
「日本の著作権法関係裁判例における憲法・表現の自由への言及状況」

休憩(5分)

19時~20時 パネル討論・質疑応答
上野達弘(早稲田大学教授)
木下昌彦(神戸大学教授)
髙部眞規子(西村あさひ法律事務所 弁護士)
比良友佳理(京都教育大学講師)
渕麻依子(神奈川大学准教授)
(司会)金子敏哉(明治大学教授)


2022年3月16日
高倉成男教授最終講義
  「知的財産の適切な保護と世界全体の危機への対処
   —強制実施権・利益配分の問題を中心として―」


 明治大学知的財産法政策研究所の所長である高倉成男教授(明治大学専門職大学院法務研究科教授、法務研究科長)が20223月に定年でのご退職を迎えられることとなりました。ご退職に際し、本研究所の主催により、高倉成男教授の最終講義を以下のように実施させていただきます。
 知的財産法の研究、教育、実務等様々な形で御縁があった多くの皆様にご参加をいただければ幸いです。

           明治大学法学部教授 金子敏哉



【日時、会場】
2022316日(水) 1830分から1945分(予定) (開場:1820分予定)
Zoomを用いたウェビナー形式で実施をします。

【最終講義】
高倉成男(明治大学専門職大学院法務研究科教授)
「知的財産の適切な保護と世界全体の危機への対処
 —強制実施権・利益配分の問題を中心として―」


講義要旨:

(1)感染症対策のために安易に強制実施権を設定すること(医薬特許の過小保護)は、次のパンデミック時の新薬の開発に悪影響を与え、感染症対策にとって逆効果である。合理的対策は、各国の出資金により特許医薬品を適正価格で買い上げ途上国等に配布することである。
(2)また、遺伝資源の提供国にその遺伝資源のデジタル配列情報(DSI)の利用に係る支配権まで付与すること(DSIの過剰な保護)は、ゲノム科学研究とその応用に深刻な影響を与え、生物多様性保全にとって逆効果である。開発途上国への支援は、利益配分の拡充によるのではなく、各国の出資金によるのが合理的である。
(3)このように、過小の保護ではなく、過剰の保護でもなく、知的財産の適切な保護こそが、中長期的な観点において、公衆衛生や生物多様性の保全のために必要な基盤の整備に貢献する。非常時の健康危機や環境危機に対する費用は、特許権者や遺伝資源利用者に負わせるべきではなく、国際社会全体の公的資金によるべきである。
(4)強制実施権や利益配分については、先進国と途上国の間に、「市場経済」VS「国際扶助」という根本的な認識ギャップがある。しかし、両者は対立関係ではなく、前者は後者の手段である。また世界全体の安心・安全・安定があってこそ、市場経済がその機能を十二分に発揮することができるという意味において両者は相互支援の関係にある。

|1|2|3|4|5|6|7|8|9|10|11|12|13|14|