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第1回例会大学院で図書館についてより深く学ぶ

       

2018年6月23日(土)、明治大学駿河台キャンパスリバティータワーにおいて、「2018年度明治大学図書館情報学研究会第1回例会」が開催されました。今回の例会では、「大学院で図書館についてより深く学ぶ」をテーマに、東京都立中央図書館で司書としてご活躍されている青野正太氏をお迎えし、明治大学大学院博士後期課程に在籍する松野南紗恵とともにご報告しました。参加者は本学の司書課程受講生を中心に、現職の図書館員の方などを含む55名(学生52名、一般3名)にのぼりました

青野氏は「図書館員に修士号―働きながら大学院で学ぶということ―」と題し、まず大学院進学の理由について、業務における改善案のヒントを得ることと、図書館員としてのキャリアを積むことであったと述べられました。また、具体的な進学先決定に際しては、働きながら学べる環境として社会人向けの課程がある点や、自身の研究テーマに造詣が深い先生方がいらっしゃる点を重要視したと説明され、実際に経験された入試の内容や、大学院での授業の様子、修士論文の執筆スケジュール等について紹介されました。青野氏は大学院生活を振り返り、国内外の先進事例への理解が深まり、図書館をさまざまな視点から捉えることができるようになったとこと、館種や世代の異なる仲間ができたこと、勤務する図書館外での活動の機会を得たことが良かった点であると述べられました。最後に、自身の研究内容についてテーマ設定の経緯や、調査対象等について説明され、起業・創業支援における図書館サービスの可能性について語ってくださいました。

続いて松野からは、「図書館を学ぶ―明治大学大学院での日々―」と題し、自己紹介の後、大学院進学の経緯について、幼少期の図書館での読書体験と一般企業での社会人経験が大きく影響したと述べました。その後、実際の大学院生活について学内と学外に分けて紹介しました。まず学内については、科目や授業内容、修士論文の執筆、ティーチングアシスタントとしての活動について説明しました。続いて学外については、日本図書館情報学会での研究発表や、美術館等で開催される講演会への参加、趣味の図書館めぐりについて紹介しました。さらに、大学院の魅力は、ひとつのことに時間と労力をかけ狭く学ぶことができる点と、学内外の活動を通して多くのことを広く学ぶ機会に恵まれている点であり、この2点が合わさることで深い学びへ繋がっていくことを実感した旨を述べました。最後に明治大学大学院について、図書館情報学に精通した先生方がいらっしゃることや、研究環境が整っていることについても触れ、明確な研究テーマや目的がある方はぜひ大学院で一緒に学びましょう、と学生たちに呼びかけました。

講演後の質疑応答では、「実際の生活リズムはどうだったか」、「研究計画書を作成する際のポイントはなにか」、「ビジネス支援サービスの課題はどのようなものか」といった講演内容をより深化させた質問が寄せられました。今回の講演を通して、学生たちは司書課程での勉学の先にある大学院での学びについて知り、今後の進路選択についても考えるよい機会となったのではないでしょうか。講演者・参加者の皆さま、ご協力ありがとうございました。

文責:松野 南紗恵(明治大学大学院)

第2回例会わたしと図書館:図書館情報学教育40年を回顧して

      

2018年12月8日(土)、明治大学和泉キャンパスメディア棟において、「2018年度明治大学図書館情報学研究会第2回例会」が日本図書館文化史研究会との共催で開かれました。今回の例会では、「ライフヒストリー」をテーマに、昨年、平成29年春の叙勲で瑞宝中綬章を受勲なさった高橋和子氏(相模女子大学名誉教授)をお招きして、ご自身と図書館との関わりについてご講演いただきました。参加者は本学の司書課程受講生を中心に74名(学生55名、一般19名)にのぼりました。

高橋氏は「わたしと図書館―図書館情報学教育40年を回顧して―」と題し、まず、図書館学に関心を寄せるきっかけとなった、高校時代のエピソードについてお話されました。その後、ご自身の母校であり、40年に渡り教鞭を取られていた相模女子大学の司書・司書教諭課程についてご紹介くださいました。また、相模女子大学附属図書館長時代には、新図書館の建築計画にも携わり、完成までのご苦労についても語ってくださいました。

講演後半では、高橋氏がこれまでに携わってこられた図書館に関連した社会教育活動についてご紹介くださいました。委員として務められた神奈川県図書館協議会での12年間、川崎市立図書館協議会での10年間、そして川崎市社会教育委員としての10年間では、「それぞれの委員会の特色を感じながら多くのことを学ばせていただいた」というお気持ちが強く残っている、と述べられました。また、高橋氏が主催者として運営されていた「図書館フォーラム・かわさき」については、立ち上げの経緯や活動内容を説明され、実際に開催されたフォーラムのテーマについても紹介されました。

講演後の質疑応答では、「図書館長時代の管理運営面での苦労はどのようなことであったか」、「女性図書館員のキャリアプランについてどのようにお考えか」といった、講演内容をより深化させた質問が寄せられました。普段は司書・司書教諭課程で学ぶ側の学生たちが、今回の講演を通して、その課程を運営する側であった高橋氏のご経験に触れ、図書館情報学や社会教育活動について考えるよい機会となりました。講演者・参加者の皆さま、ご協力ありがとうございました。

文責:松野 南紗恵(明治大学大学院)

  

シンポジウムウェブ環境下のレファレンスサービスの現状と今後の課題

       

2018年12月1日(土)、明治大学駿河台キャンパスリバティータワーにおいて、「ウェブ環境下のレファレンスサービスの現状と今後の課題」と題するシンポジウムを開催いたしました。 参加者は本学の司書課程受講生を中心に、一般の方を含む102名(学生98名、一般4名)にのぼりました。

シンポジストには、青山学院大学教授の小田光宏氏および国立情報学研究所准教授の大向一輝氏をお招きし、本学教授の齋藤泰則氏を含めた3名にご講演いただきました。

小田氏は「レファレンスサービスの現状と課題―『の ようなもの』の意義―」と題し、まず、21世紀のレファレンスサービスに関する研究文献についてレビューされました。小田氏はこれまでの研究文献では、レファレンスサービスに対する概念や定義がさまざまで、サービス内容も多岐に渡っており、「レファレンスサービスのようなもの」が多く存在していることを指摘されました。また、今後ますます広がりを見せる話題として、課題解決支援や情報リテラシー教育、学校での学習指導等について説明されました。さらに、図書館に導入されつつあるゲーミーフィクションやメイカースペース、AIとレファレンスサービスの関係性についても紹介され、図書館員の専門的能力に着目した取り組みの必要性について述べられました。

続いて大向氏は、「レファレンスサービスのインフラとしてのウェブサービスの動向」と題し、自己紹介の後、ウェブサービスの動向について、コンテンツが充実し、サービスが高度化している現状について指摘されました。その後、自身が運営に関わるCiNiiについて紹介され、実際のデータフローをもとに、他の機関が運営するOPACやデータベース等と繋がる特徴について説明されました。最後に、今後のCiNiiの展開についても触れ、図書館には異なる組織や利用者などを繋げる役割を期待し、利用者自身が「セルフレファレンス」を実現できるよう目指していきたいと述べられました。

齋藤氏は、「レファレンスサービスの動向と図書館に関する利用者の認知特性」と題し、米国の調査研究を中心に紹介されました。米国の大学図書館と公共図書館での貸出件数やレファレンス処理件数が減少傾向にある一方、行事実施回数やその参加者数は増加している現状について触れ、利用者は図書館に能動的なサービスを期待していると指摘されました。また、図書館利用の目的や、論文作成時の資料利用に関する認識には、図書館員と利用者の間で異なる結果が得られた調査を紹介し、図書館が扱う情報源の価値や特性についてさらに発信していく必要があると述べられました。

講演後は、齋藤氏のコーディネートによる、パネルディスカッションが行われました。聴衆からは「大学生のWikipediaの利用に関する調査研究は他にどのようなものがあるか」「レファレンスサービスはどのように評価していくことができるか」といった具体的な質問が寄せられ、それぞれにシンポジストが回答しました。今回のシンポジウムを通して、学生たちはレファレンスサービスに関する動向や課題について学び、レファレンスサービスの今後の在り方について考えるよい機会となったのではないでしょうか。ご講演者の方々をはじめ、参加者の皆さま、ご協力ありがとうございました。

文責:松野 南紗恵(明治大学大学院)

 

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